少年野球での叱り方と褒め方、実は同じ? 専門家が重視する“2つのポイント”

文:間淳 / Jun Aida

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叱り方も褒め方もポイントは2つ 個人内の比較とプロセスの指摘

 少年野球の指導者や保護者が悩む子どもの叱り方と褒め方。真逆に見える行為だが、根本は同じだという。ジュニアからプロまで野球選手らをサポートしているスポーツメンタルトレーニング指導士・筒井香さんが、悩みを解消するポイントを解説。叱り方も褒め方も「個人内の比較」と「プロセスの指摘」の2つが重要だと説く。

――少年野球の指導者や保護者に話を聞くと、子どもの叱り方に悩んでいる人が多いです。子どもに響く叱り方、子どもたちのためになる叱り方を教えてください。

 大切なのは監督やコーチ、両親がいつ、どんな時に叱るのか態度を明らかにして、子どもたちと共通認識を持つことです。そうしないと、子どもたちは次の学習に移っていきにくいんです。叱る時は主に2つのパターンがあります。1つは他者を引き合いに出すパターンで、「○○くんは、こうだった」と言うもの。もう1つは個人の中で比較するパターンで、「以前のあなたは○○」と伝えるものです。子どもを叱る時は後者のパターン、個人内の比較が大切と考えています。

――大人が子どもを叱る時、1つ目のパターンに挙がった他者との比較が多い印象を受けます。なぜ、個人内の比較の方が良いのでしょうか?

 成長するには、他者との比較と個人内の比較、2つの軸が必要です。他者と比べる軸は分かりやすいので、子どもたち自身がしている場合も多いですね。大人に言われなくても気付いているわけです。大人も一緒に他者を引き合いに出して叱ると、個人内で比較する習慣が子どもたちに付きません。「○○くんはできていた」というように、その場で目にしたことを指摘する方が簡単なので、ついつい大人は他者と比べてしまうことも多いと思います。

――では、実際に指導者や保護者はどのように叱れば、子どもの成長につながるのでしょうか?

 個人内の比較、つまり、その子ども自身の過去と比較することですね。「先週のノックでは忘れずにベースカバーに入っていたよ」「先月の試合では次の塁を狙う動きができていたのに、きょうはどうした?」というように指摘したり、子ども自身に考えさせたりする方が響きますね。

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