珍しい“中学部活動”の硬式野球チーム 同じ敷地で6年間…「四六時中一緒にいる」強み

文:尾辻剛 / Go Otsuji

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ジャイアンツカップでベスト4の青森山田リトルシニア

 同じ仲間たちと6年間、ともに過ごせるからこそのメリットがある。8月11日〜17日に開催された、中学硬式野球の日本一を決める「第20回全日本中学野球選手権記念大会 ジャイアンツカップ」で、青森山田リトルシニア(青森)は、優勝した取手リトルシニア(茨城)に準決勝で1-3で敗れた。初の決勝進出を惜しくも逃したものの、「成功も失敗も、この先の3年間に生きてくる」と中條純監督は選手たちにエールを送った。

 3回にスクイズで先制。だが4回に同点に追いつかれると、6回に失策でピンチを招き、暴投などで2点を勝ち越された。打線は5安打の相手を上回る8安打を放ちながら好機にあと1本が出ず、4回以降は無得点。押し気味に試合を進めながら競り負け、過去最高の3位に入った2024年に続いて準決勝で敗退した。

 中條監督は「ここまで投手を中心に守り切ってきたんですけど、きょうはミスが出てしまったのが残念でした。そういう時は負けてしまうなという感じです」と敗戦の弁。2021、2022年に日本選手権を連覇して以降は、主要全国大会でベスト4止まりが続いており「また同じことを繰り返した。3年生の最後の大会で勝たせてやれなくて申し訳ない」と肩を落とした。

 それでも青森山田が全国屈指の強豪である事実は変わらない。選手は全員、青森山田中の生徒。軟式が多い中学校では珍しい硬式野球部として、リトルシニアのリーグに所属して活動している。今夏の甲子園に出場した青森山田高まで、中高一貫の環境で6年間野球に取り組めるのは、他にはないストロングポイントと言える。

 同じ仲間と6年間を過ごすため、一体感は自然と強くなり、絆も深まる。中條監督は「クラスも一緒ですし、寮もあってみんなで四六時中一緒にいる。そこは他にないところで、ウチのいいところです」と説明。それぞれ違う学校に通い、練習で顔を合わせるのが土日中心となる、多くの中学硬式野球チームとの違いが明確にある。

 指導者と選手のコミュニケーションも密にとれる。青森山田中の教員である中條監督は、「授業で選手と接することもありますし、距離も近くなる」という。監督と選手という立場だけで終わらない部分があり「先生でもありますし、いい兄貴分でありたい。いいお父さんでもありたいと思っていますし、いいお兄ちゃんでありたい。そのすべてでありたいなと思って日々生徒と向き合っている」と力を込める。

「日本一の取り組みをしていけば、選手のこの先に生きる」

青森山田リトルシニア・成川蒼空【写真:小林靖】

 教員の立場から普段の生活指導も熱心に行う。「野球以外のことを言うことが多いです。野球はみんな大好きだし、頑張れれば自然とうまくなる。でも、こういう全国の舞台で力を発揮するには普段からコツコツと取り組んでいかなきゃいけない。力を発揮するには日頃の野球以外の部分が非常に大きいと思うので、野球の指導以上に力を入れている」。普段の姿勢や取り組み方が技術向上につながることを選手に伝え、人間教育にも力を注ぐ。

 今大会は日本一に届かなかったが、3年生は次のステージで雪辱のチャンスがある。「この悔しさをバネに次は甲子園でという気持ちになると思います。中学野球は彼らの野球人生の中で、ほんの少しの3年間ですけど、成功も失敗も、この先の3年間に生きてくる。次の3年間、甲子園という目標に向かって、甲子園で日本一という目標に向かって頑張ってほしい」。そうエールを送る中條監督には大きな目標がある。

「日本一を獲れなくても、日本一を目指して日本一の取り組みをしていけば、選手のこの先に生きると思っています。青森山田として、中高同時に日本一になるというのを僕自身は目標にしている。そんな日が来ることを願っていますし、そんなことが体現できるのは青森山田にしかないのかなとは思っています」

青森山田リトルシニア・中條純監督【写真:小林靖】

 涙にくれたエースで4番の成川蒼空投手は「またこの仲間と一緒にきつい練習もやっていくので、この経験を生かして次の舞台で頑張りたい」。2安打を放ち、スクイズも決めた八戸颯士内野手も「高校ではこの仲間たちともう一度、日本一を獲るという固い決意を持って3年間頑張っていきたい」と前を向いた。

 中学も高校も同じ敷地内にある青森山田の野球部。高校に進学後、選手は悩んだ時に中條監督に相談することもある。中学日本一を目指す中條監督も、かつての教え子への協力は惜しまない。いつか中高同時に日本一へ。その高い志を胸に、青森山田の挑戦はこれからも続いていく。

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