練習試合6連敗、春コールド負け→甲子園出場の“快進撃” 弱小校を躍進させた4か月改革

福山・小田浩監督、就任4か月で甲子園初出場に導く
考える力と実行する力を養えば、子どもたちは短期間で急成長できる。広島県の公立高校、福山は第108回全国高校野球選手権に出場し、大会第6日の10日に甲子園球場で天理(奈良)と対戦。2-7で初戦敗退を喫したが、再三の好プレーでスタンドを沸かせた。今年4月から指揮を執る小田浩監督がナインの意識を改革。就任4か月で導いた春夏通じて初めての甲子園で、持てる力を存分に発揮できたのには、“最適解”を求める名将の指導法があった。
「今振り返っても、普通じゃ考えられないですよ。就任した時は私も半信半疑で『あと100日でやれることをやる』って言いましたけど、強くなる確信があったわけじゃない。最初の頃は練習試合も6連敗だったかな。春の大会もコールド負け。そこから毎週、試合をこなしていくごとに選手は成長してきました。試合に勝つとかじゃなく、考え方が成長している。大人になったと思います」
自身は高校時代、広島商でプレーし、3年時に夏の甲子園で準優勝。順大卒業後は教員となり、監督を務めた西条農では1991、1993年に夏の甲子園に出場した。総合技術でも監督を務め、2011年春の選抜甲子園に初出場。同年夏に監督退任後は野球指導から離れて広島県内の高校で教員の業務に専念し、今年3月までは呉で校長を務めていた。
そんな中で公立の進学校である福山から打診され、福山市教育委員会職員として4月に監督就任。2019年に部員不足のため連合チームで出場するなど、夏の広島大会はベスト16が最高成績だった弱小校の改革に乗り出した。
「『これをやれ』ではなく、根拠を持って日々説明して、ゴール地点を意識させてきました。元々、考える素養はある。私が言ってきたのは『どうすればいいか考える。プラスして自分なりの最適解を出そう』ということ。模範解答じゃなくていい。それが自分にとって最適解なのか常に考えて、見つけて、行動するんです」
スイング1つとっても、水平に振る選手もいれば上から叩きつけるように振る選手もいる。「例えば打席でどういうふうにアプローチしていくのか。一般的な模範解答はあると思いますけど、自分が感じてどうなのかとか、相手投手と対峙してどうなのか、その最適解を考えて実行するように言ってきました」。能力も違えば、体格も異なる。それぞれに合った動きや対応を考えさせ、出した答えを実行することを徹底させた。
野球で培った力「受験勉強でも就職でも生かせる」

キャッチボールなどの基本練習から守備の動きまで、全てにおいて「思考力」と「実行力」を追求。就任直後は練習試合でも全く勝てず、4月25日の春季大会の呉戦では2-9と7回コールド負けを喫したチームは、徐々に変わっていった。夏の広島大会準決勝では、呉に4-3と逆転勝ちして春のリベンジに成功。小田監督の母校である広島商との決勝も4-3で逆転勝ちし、春夏通じて初の甲子園出場を決めたのである。
広島県内の異なる公立3校を甲子園に導いた名将は、野球で培った「思考力」と「実行力」はその後の人生でも役に立つと力説する。「恐らく学習の場でも、就職しても、最適解を考える姿勢は求められる。野球で身につけた思考力、実行力はそのまま受験勉強でも生かせる。就職でも生かせる。僕はポータブルスキルと言っているんですけど、持ち運びできるんです。だからしっかり考えて、自分の力で行動していきなさいと言ってきました」。

考えて、実行する。加えて「責任を持つ」ことも求める。「失敗したら責任を取れということじゃない。失敗を受け入れて、向き合って改善する。同じ失敗をしないように取り組むところまでが責任。その責任は求めたところです」。責任を持って改善に取り組むということは、再び考えるということ。そして実行する。そこには好循環が生まれていく。
天理戦は再三の好守もあって5回まで0-1と互角の展開。6回以降にミスもあって突き放されたのは、大舞台での経験の差が出たのかもしれない。これも受け入れて、向き合って改善に取り組む。「何とかこれをスタートラインとして、次のステージに行けるチームにしていきたい」。次は甲子園で勝てるチームを作る。小田監督の最適解を求める指導は続いていく。
読んで理解したら、次は動画で習得する
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