高校野球“7回制”で「ドラマは生まれない」は本当か 中学指導20年の見解「めちゃ焦る」

中学硬式強豪「関メディ」の井戸伸年総監督は7回制に肯定的
高校野球における「7イニング制」導入について、高野連と指導者、有識者などによる意見交換会が今月30日に開かれる。ルールが変わるかもしれない高校野球のステージへ、教え子たちを送り出す指導者は、この検討策をどう思っているのか。4度の全国制覇を誇る中学硬式野球の強豪「関メディベースボール学院」の井戸伸年総監督は、「7イニング制でいいんじゃないでしょうか。中学生にとっては今(のイニング数)と変わらないんですから」と話す。
中学野球が「7イニング制」である理由は、球児たちの肩肘の故障を防ぐことや、体力の限度などが挙げられる。一方で、高野連による「7イニング制」の検討も、熱中症や投球過多による障害から守るためであり、その他に、大会運営に携わる教職員の働き方改革、気候変動などに対応するためでもある。これらは高校球児と指導者に限らず、スタンドにいる吹奏楽部などの応援している生徒、観客、審判員を守ることにも関わってくる。
「7イニング制」に対し、「終盤にドラマが生まれなくなる」「面白みが損なわれる」という反対意見もある。しかし、2イニング短い試合にも魅力はある。井戸総監督は、高校、大学、社会人、2003年に入団した近鉄、Honda鈴鹿のコーチ時代を含めば「9イニング制」との付き合いは15年に及ぶ。それらの経験と、中学野球の指導者として丸20年向き合ってきた「7イニング制」とを比較し、次のように明るく語った。
「ハラハラするのは7イニングのゲームでしょう。初回から面白い試合が増えると思いますよ。(バッテリーの攻略法などを)考えているうちに試合が終わってしまいますからね。21個しかアウトがない。先に点を取られたら、どうしよう、どうしよう、早く取り返さなアカンと、指導者だってめちゃくちゃ焦りますから」
試合終盤のドラマは起こりうる「なくなるのは“最初の2イニング”」

2イニング短縮することでアウトが6つ減り、1つあたりの重みが増す。「走塁だって全部、全員が本気。1つのプレーに今以上に必死になるはずです」と井戸総監督。「9イニング制」より早くバッテリーの配球を読んだり、癖を見抜いたり、ボールにアジャストしたりする必要があり、脳もフル回転するため、ゲームセット後の球児はヘトヘトになるはずだという。
さらに、球児が土壇場で起こすドラマチックな展開は、イニング数が減ったとしても起こるという。「みなさん『終盤のドラマがなくなる』って、9イニングのうち最後の2イニングがなくなると思っているでしょう? 違うんです。なくなるのは“最初の2イニング”ですからね」とニンマリ。「初回から(3回のつもりで)攻める」ことで試合内容が濃くなり、全体を通して野球を面白いと感じる人が増える可能性があるという。
今年6月から監督として「ポニーU-12日本代表」を率いる井戸総監督は、米国など海外では、高校の年代でも怪我予防などを目的に「7イニング制」が普及していることから、成長期の子どもの扱いを世界基準へアップデートする必要性も感じている。関メディの選手たちも、高校進学後も7イニング制が維持されることに不安を抱いてはいないという。
選手の出場機会が減るとの声もあるが、イニング数を減らした分で「Bチーム(控え選手)の大会をやる余地もできるのでは」と井戸総監督。選手・関係者を守りつつ、できるだけ多くの球児が背番号をつけられる、そんな前向きな議論が進むことを願っている。
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