大会中止連発、部員が「練習に来ない」 毎年届く悲報も…“高校軟式野球”が魅力的なワケ

更新日:2026.05.21

文:喜岡桜 / Sakura Kioka

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徳島県に高校の軟式野球部は2校、春季大会は3年連続中止…富岡東高の久米壮典

 青春の日々を駆け抜けている。“野球王国”とも称される四国だが、高校の軟式野球部は愛媛県、香川県、徳島県をあわせて8チームしかない。徳島県は鳴門と富岡東の2校のみで、部員不足による公式戦中止が続いている。今月7日、今年も徳島県高野連から「第75回徳島県高等学校軟式野球春季大会」の中止が発表された。富岡東の久米壮典外野手(3年)は「3年間『無い』って言われました」と眉尻を下げながら笑った。

 中学時代は、徳島県阿南市にある新野(あらたの)中の軟式野球部に所属した。野球は好きだったが、「自分のレベル的に硬式は無理って諦めていて」。卒業を機に野球はやめるつもりだった。しかし、「進路調べの時間」での“発見”が転機になった。「富岡東に軟式野球部があることを知って。軟式だったら僕にも希望があるかなと。あの時に見つけられて、もう軟式をしたいって気持ちで富岡東を受験しました」と声を弾ませる。

 入部後、先輩から「(軟式野球部は)県内に2チームだけ。四国大会も勝てていない」と教わった。「少な! って思いましたが、これはもしかしたら、努力したら僕でも四国大会へ行けるかもと思いました」。1年春の徳島大会中止を経て、夏は部員9人で“決勝”に臨み、久米は「5番・三塁」で出場した。6年連続四国大会出場を狙ったが、鳴門に2-5で敗退。相手エース・長井一宙投手に13三振を奪われ、2安打に抑えられた。

 この敗戦が、チームに影を落とした。「部員何人かが鳴門のレベルの高さに絶望して、練習に来んようになってしまったんです」。練習に出てくるのは先輩と久米の2人だけに。だが、久米はチャンスだと思った。「この状況を逆手にとって、先輩とめちゃくちゃ練習したんです。トスバッティングしたり、ノックを受けたり。軟式球の独特のバウンドに対応する練習もしました」。上達の手応えを掴み、自己肯定感も養われた。

昨年夏に全国大会出場、今月には初めて甲子園でのプレーを経験

 2年春の徳島大会はまたも中止。毎年続く“悲報”を振り払い、夏に照準を合わせて練習を重ねた。練習試合は、徳島県で活動している大人の軟式野球チームとすることもある。同世代との交流はほぼない。だが、久米は高校入学以降、「やめたいと思ったことはないです」と言い切る。「軟式野球って、人数が少ないから課題が簡単に見つかって、改善したら、試合でちゃんと結果が出るんです。なんかそれが楽しくて」と頬を緩める。

 その言葉通り、夏に結果を出した。鳴門との試合に「3番・右翼」で出場し、ビハインドで迎えた8回に犠飛で貴重な1点をもたらす。9回には押し出し四球を選ぶなど、10-4の勝利に貢献。2年ぶり12回目の優勝を飾った。さらに四国大会も制し、14年ぶりに「第70回全国高校軟式野球選手権大会」(8月、明石トーカロ球場など)に出場した。初戦で能代(秋田)に2-15で大敗したが、その経験も集大成となる今年の夏への財産になった。

 今月4日には、全国から52人(うち記録員2人)が東日本チーム、西日本チームに分かれて戦った「第2回春の軟式交流試合in甲子園」に選出され、初めて甲子園球場の土を踏んだ。今春の選抜大会に出場した阿南光硬式野球部に知人がいる友人から「打席に入ったら何も聞こえないらしいよ」と伝え聞いた。だが、「僕は反対で、すごく音が聞こえて。応援歌が聞こえました」。頭をかきながら「それだけ集中できてないのかも」と笑ったが、観客数、音が反響する銀傘とスタンド、その全てが新鮮だったに違いない。

 3年夏の徳島大会まで残り約1か月。一度は大好きな野球を「レベル」を理由に諦めようとした。だが、久米は充実した高校生活を送り、2年連続の四国大会制覇と全国大会出場を目指している。高校軟式野球という選択をしたからこそである。大学でも軟式野球を続けるつもりだという。「複合バットが使えるようになるんです。それが楽しみで」と、人生初のホームランという夢も描いている。

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