中日Jr.が体現する“令和の根性野球” 練習量激増も…「理不尽ではない」と言い切るワケ

「理不尽」は排除し「必然」を説く…中日Jr.山北監督が再定義した勝負の言葉
“精神論”もアップデートさせていく。12月26日から29日まで神宮球場と横浜スタジアムで行われる「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」に向け、中日ドラゴンズジュニアが独自のチーム改革を進めている。昨年、技術がありながらも本番で力を発揮できずに敗退した反省から、山北茂利監督は今年、現代では避けられがちな「気合と根性」という言葉を敢えて大事にする。ただし、それは昭和の精神論とは一線を画す。いつ、どんな場面で“心”が必要なのかを論理的に説く、令和版のメンタル強化だった。
「ようやくチームとして形になってきました」。今年のチーム作りにおいて、指揮官は「例年以上に厳しくいく」方針を固めた。背景にあるのは、拮抗したレベルの戦いにおいて勝敗を分ける“あと一歩”の要素だ。
現代の少年野球の現場において、「気合」や「根性」という言葉は、指導者の暴力や怒声罵声、理不尽な強制を連想させるものとして敬遠される傾向にある。しかし、山北監督は「時代は変われど、勝負事において大事なものは変わらない」と断言する。重要なのは言葉の定義を、子どもたちに正しく「言語化」して伝えることだと考えた。
「昭和のイメージにあるような、ただがむしゃらに叫ぶ理不尽なものとは違います。『絶対に負けない』『ここは俺が決めてやる』という強い意志が“気合”。そして、苦しいピンチを乗り越える力、絶対に抑えるという粘りが“根性”。そう置き換えて表現しています」
やみくもに精神論を振りかざすのではない。技術の攻防だけでは解決できない局面――。例えば最終回のピンチや、“一本”が期待されるチャンスでの打席で、何が自分を支えるのか。シチュエーションを踏まえて「こういう場面こそ、根性が必要なんだ」と具体的に説くことで、選手たちは迷いなくマインドセットを切り替えられるようになった。
練習量も「倍以上」に増やした。11月までは試合後にノックとランニングを実施するなど、ハードなメニューを消化。「苦しい練習を乗り越えた事実を自信にしてほしい」という親心だが、納得して取り組ませるための工夫も凝らしている。
堂安律、井上尚弥、菊池雄星…トップアスリートの言葉を“教材”に

今の時代の子どもたちに、言葉だけで精神論を説いても響きにくい。そこで山北監督が用意したのが、現代のトップアスリートたちの言葉を借りる“授業”だ。
サッカーの堂安律や本田圭佑、ボクシングの井上尚弥、メジャーリーガーの菊池雄星。彼らが会見やインタビューで、気合や根性の重要性について語っている動画を集め、選手たちに見せた。「世界のトップで戦っている選手たちでも、こういう表現をするんだ。今の時代でも、最後はここが大切なんだよ」と。データや理論全盛の時代にあっても、トッププレーヤーほど「心」を大切にしていることを紹介した。
さらに、本番の緊張感を疑似体験させるため、ナゴヤ球場で中日のコーチらとの試合も実施した。電光掲示板や場内アナウンスを駆使し、約2000人の観客が入る異例の環境を用意。「こんなに緊張するんだぞ、というのを経験させてあげたかった」という狙い通り、選手たちは大観衆の中でのプレッシャーと、それを跳ね返す難しさを肌で感じ取った。
こうした改革は、選手たちの意識を確実に変えている。主に1番打者としてチームを牽引する木村友哉選手は、監督の教えを「新鮮でした」と受け止めている。
「今まであまり言われてこなかった。これまで練習試合で僅差で負けることもあったので、勝てるようになるかもと思いました」
13日の練習試合でも、効果を実感する場面があった。マウンドに上がった木村くんは「ピッチャーをしている時も、ピンチの時に気合を意識したら抑えることができました。今までは焦ってしまっていたけど、今日は考える余裕がありました」と振り返る。ただの精神論ではなく、焦りを消し、自身のパフォーマンスを最大限に発揮するためのツールとして「気合」を使えるようになった証拠だった。
試合中、ベンチからは自然と「気合!」「根性!」という声が飛び出すようになった。それは古臭い掛け声ではなく、チーム全員が共通の定義を持って発する“勝利へのスイッチ”。理不尽ではなく、確かな根拠に基づいた「令和の根性」を武器に、ドラゴンズジュニアが神宮の杜で頂点を目指す。
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