成長遅い子へ「今は我慢や」 元プロから金言…“体格勝負”の学童野球で「全ては決まらない」

更新日:2025.10.01

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

XFacebookLineHatena

創部11年目で全国大会初出場…勝利を手にした「明石ボーイズジュニア」

 上のカテゴリーで通用する選手の育成過程に、全国大会という“ご褒美”があった。8月に行われた“小学生の甲子園”「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に、兵庫代表として出場した明石ボーイズジュニア。総監督を務める元近鉄、オリックスの筧裕次郎氏は「大事なのは将来どこに立っているか。子どもたちには伝えています」と、現状に満足させないチーム作りを大切にしている。

 明石ボーイズジュニアは創部11年目で、強豪が揃う兵庫大会を制し全国大会初出場。1回戦で五泉フェニックス(新潟)を7-2で破り勝利を手にした。続く大龍ビッグドラゴンズ(鹿児島)との2回戦では同点の6回に勝ち越しを許し惜敗。初の大舞台を経験した筧総監督は「子どもたちの目標が明確でした。もちろん、全国出場を目指していましたが、それ以上のものがあった」と振り返る。

 新チーム結成時からキャプテンを中心に発していた言葉が「当たり前のことを当たり前にできるようになろう」だった。1つのアウトを確実に取る、常に先を狙った走塁など、普段の練習や試合で意識すればできることを徹底的に磨いていったという。

「どのチームも『打てれば勝てる』というのは同じだと思いますが、打線は水ものとよく言います。では、打てない時でも勝つチームをどう作るか。そう考えると100%を目指せる守備と走塁に重きを置く。子どもたちの“当たり前のことをやる”という言葉を聞いて、すごく意識が高い集団だなと感じました」

小学生は「“勝つ勝つ”だけではダメなのかと思います」

明石ボーイズジュニア・筧裕次郎総監督【写真:橋本健吾】

 チームとして勝つことは、日々努力してきた子どもたちの“成功体験”に繋がっていく。ただ、筧総監督が求めているのはそれだけではない。「小学生なら体の成長が遅い子もいる。今はレギュラーではなくても『我慢やで』と言います。中学や高校で一気に成長する選手はたくさんいます。小学生で全てが決まることはないので」。

 子どもの時期は“体格”で勝負することも可能だ。ただ、小学生や中学時代に騒がれていた選手が、後に名前を聞かなくなるケースも少なくない。「選手たちがどこを目指しているのか。高校、大学、プロで野球をするには何が必要なのかを感じてほしいし、僕たちもサポートしなければいけない」。早熟型も晩熟型も、いかに上のカテゴリーで活躍させるかが指導者の役目だと認識している。

「小学生で結果を残したい気持ちも分かります。全員が全員じゃないと思いますけど、例えば今、補欠の子が最終的にプロ野球選手になったら『それは君の勝ちだと思うよ』と。今、試合に出られなくても、個々が思い描く最終的な夢はどこなのか。逆に今、NPBジュニアに選ばれるような選手には『俺はできる! って胸を張るのは違う』と伝えます」

 さらに「小学生は“勝つ勝つ”だけではダメなのかなと思います。中学、高校、大学とカテゴリーが上がるほど勝つことが優先されてくる。だからこそ、小学生の時に『それ以外にも大事なことはあるんじゃない?』と教えていきたい」と続けた。

 筧総監督は11年務めた小学生の指導を離れ、今後は兄弟チームの中学硬式「明石ボーイズ」のサポートに回る。「小学生、中学生は体も心も一番成長する時期。次のカテゴリーに繋がるよう指導していきたい」。軟式から硬式に移行する子どもたちに対しても「将来を見据えた」育成方針は変わらない。

少年野球の現場を熟知するコーチが参加…無料登録で指導・育成動画250本以上が見放題

 野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」(ターニングポイント)では、無料登録だけでも250本以上の指導・育成動画が見放題。First-Pitchと連動し、小・中学生の育成年代を熟知する指導者や、元プロ野球選手、トップ選手を育成した指導者が、最先端の理論などをもとにした、合理的かつ確実に上達する独自の練習法・考え方を紹介しています。

■専門家70人以上が参戦「TURNING POINT」とは?

■TURNING POINTへの無料登録はこちら

https://id.creative2.co.jp/entry

トレンドワード