東京王者エースの“個性”が生んだ緩急 変化球禁止の学童野球で…打者翻弄できる理由

文:片倉尚文 / Naofumi Katakura

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右サイド&アンダー…腕の位置を変えて打者幻惑する右腕

 変化球が禁止されている学童野球。投手は直球だけでなくスローボールを交えて“緩急”をつけ、相手打者を抑えにかかるのが一般的だ。しかし、力を加減してストライクを取るのは、なかなか難しい。「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント東京都予選」を制した「不動パイレーツ」の投手は腕の位置を変えて打者を翻弄した。

 不動パイレーツはマクドナルド・トーナメント本大会で一昨年は準優勝、昨年は3位に輝いた強豪。今年は4年ぶりに東京王者となり、8月11日開幕の本大会に出場する。6月14日に行われた東京都予選決勝では「越中島ブレーブス」に14-5で快勝。先発した右腕・木戸恵悟投手が粘りの投球を見せて勝利に貢献した。

 本来はサイドハンド。100キロ前後の直球はナチュラルにシュートする。それだけではない。時折見せるのがアンダーハンドからの投球。こちらの球速は70キロ台だ。腕の位置を変えることで自然と緩急がうまれ、相手打者を幻惑する。

 小学3年からサイドハンドで投げているという木戸。上手投げを勧める声もあったそうだが、田中和彦監督はナチュラルにシュートする個性を生かそうとサイド継続を勧めた。そして、後にアンダーハンドも提案。「ストレートでも緩急がつきます。バッターの目付けを変える意味でも効果的ですし、何か自分の色をつければ将来的に強みになると思いました」と説明する。

アンダーハンドで投球する木戸【写真:片倉尚文】

 元々チームでは3番手だった。しかし、「どうしたらエースになれますか?」と田中監督に質問するほど向上心が強いといい、努力の末に背番号「1」をつけるまでになった。指揮官は東京都予選を制した要因に投手の成長を挙げ、「エースの自覚が生まれたと思います」と木戸を称えた。

 変化球禁止の中でも、自分の“色”を出して強豪チームのエースになった右腕。全国舞台でどんな投球を見せるか楽しみだ。

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