「子ども任せは難しい」自主練習…どう意欲高める? サボり誘惑を取り除く“アプリ活用”

公開日:2025.02.26

文:内田勝治 / Katsuharu Uchida

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東京の学童野球チーム・不動パイレーツは“リモート”で平日練習をアドバイス

 指導者の目の行き届きにくい平日の「自主練習」において、適切なコーチングを行うには、どのような方法があるのだろうか。グラウンドを確保するのが困難な都市部では、活動は土日祝日のみで、平日は自主練としている学童野球チームは多い。東京・目黒区で活動する「不動パイレーツ」ではアプリを活用し、令和の時代に即したリモート指導を行っているという。

 主に週末に活動を行う不動パイレーツは、平日の練習については各選手や家庭の裁量に任せている。とはいえ、まだ小学生。自分でメニューを組み立て、計画的に自主練を行える選手の方が少ないだろう。遊びの誘惑に負けてついサボりがちになり、活動日に思うように体が動かないこともある。

 Aチームの6年生を指導する田中和彦監督は、「ただざっくりと“練習をしてきてください”だけだと、親御さんも仕事があるし、子ども1人でやるのは難しいと思います」と語る。しかし、アドバイスがしたいと思っても、何かしら形に残っていなければ難しい。「しっかりと見て教えてあげることで、子どもたちが『平日も一生懸命やろう』と感じてもらえる。そういう環境を作ってあげられないかと考えていました」。

 良策を思案していたところ、たどり着いたのがグループコミュニケーションアプリ「BAND」の活用だった。スマホやタブレットを使って簡単にライブ配信ができるもので、平日練習の際に動画を撮ってもらう。配信中にコメントを送れたり、配信後に動画を掲示板に共有したり、端末に保存したりすることもできる。誰がどんな練習をしているかリアルタイムで確認できるので、指導者が教えやすいのはもちろん、選手同士で刺激しあえる点もメリットだ。

「昨年、東京都の新人戦に負けてから、次のステージに向けて改善しなければとなった時に、普段の生活から見直した方がいいと考え、元々試合のライブ配信で使っていたアプリを活用しました。例えば『何分何秒の場面のスイングはちょっと力が抜けているね』とか、『インパクトの場所がちょっと詰まっているよ』というように、なるべく言葉で伝えようと思っています。子どもたちも質問をしやすいですし、いい環境なのかなとは思っています」

週末練習がグラウンド“争奪戦”…保護者の協力が不可欠

週末練習では思い切り“野球”ができる環境を整える【写真:高橋幸司】

 一方で週末の活動日は、子どもたちに広いグラウンドで思い切り野球をしてもらいたい。そのためにも保護者の協力が必要不可欠だ。都のスポーツ施設予約システムに登録してもらい、予約可能日時が来るのと同時に、近隣の球場やグラウンドを押さえてもらうよう依頼している。

「普段使用する不動小学校は校庭が狭いですし、週末はできるだけ打撃練習や実戦が思い切りできるように、保護者の皆さんに協力をお願いしています」。都内に1000以上ある学童チームや草野球チームも“ライバル”になるため、システムが開いた瞬間に予約が埋まっていることも多いという。都会ならではの苦労と言えるだろう。

 そうした大人たちの協力と創意工夫に子どもたちがしっかりと応え、“小学生の甲子園”「全日本学童野球大会マクドナルド・トーナメント」では2023年に準優勝、昨年は3位と、全国の舞台で輝かしい成績を残してきた。限られた環境でも、工夫次第でできることは、いくらでもある。

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