選手が委縮しない雰囲気づくり…全国大会連覇した多賀少年野球クラブ
練習の雰囲気のまま全国の舞台でも戦えたことが日本一につながった。“小学生の甲子園”と呼ばれるマクドナルド・トーナメントで2018、2019年に連覇を成し遂げている滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、2017年に指導方針を大きく変えた。First-Pitchでは小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。今回は、辻監督の選手の力を引き出す練習法に迫った。
高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会「マクドナルド・トーナメント」に毎年のように出場しても、多賀少年野球クラブは壁を破れなかった。準優勝2回、ベスト4にも入ったが、なかなか頂点に立てなかった。辻監督が練習方針を見直したのは2017年だった。
「全国大会で勝つには精神的にタフな選手にならないと駄目だと考えていましたが、日本一になれませんでした。全ての選手が全国の舞台でも100%の力を出せる指導に変えました」。試合を想定してプレッシャーをかける練習から、選手の力を100%引き出す練習への転換だった。
同じ練習メニューでもアプローチを変更した。全国大会を想定して選手を追い込む練習から、選手にストレスを感じさせない指導へ転換。例えば、ノックではエラーをすると威圧的に怒ったり、ミスに罰則を付けたりしていた方法をやめた。代わりに、選手が委縮しない雰囲気をつくった。
「試合では6~7割の力しか出せないので、練習では140%の能力を身に付けさせようと、日本一になる前は考えていました。必然的に練習は、どんどん厳しくなります。日本一になった時は全く逆で、練習の雰囲気や流れのまま試合をしていました」
「打球をしっかり捕ろうとする選手にミスが起きやすい」
選手にストレスを与えず能力を伸ばすには、どのように指導すれば良いのか。辻監督は「1つ上のレベルを目指す反復練習」を挙げる。内野手であれば堅実に捕球したらセーフになるゴロに対し、チャレンジして成功すればアウトにできる判断や技術を身に付ける練習を繰り返すという。
「打球をしっかり捕ろうと思っている選手にミスが起きやすく、ファインプレーしようとしている選手はミスが少ないと感じています。ファインプレーは、いわばあり得ないプレーです。そのプレーを目標に練習し、試合でもファインプレーを出そうとする選手に育てることが100%の力を引き出す指導だと考えています。自分が思う1つ上のレベルを目指してチャレンジさせる練習が大切です」
ただ、どんな打球や場面でもチャレンジすれば良いわけではない。外野手が全ての打球に飛びついて後逸し、ランニングホームランを連発すれば勝利が遠ざかる。「堅実なプレーと分けて練習する必要があります。自分のレベルがどのくらいになったのかを把握して、ギリギリまでチャレンジします」と説明する。1つ上のレベルを目標に練習し、クリアしたら次のレベルを目指す。その繰り返しで選手は上達し、大舞台でも普段通りのプレーを可能にする。
辻監督は、今月25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」に参加予定。選手の力を引き出す指導法は、参考になるはずだ。
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