打席やマウンドで「緊張するのは大切」 専門家が少年野球の子どもに伝える“克服法”

公開日:2022.10.15

更新日:2023.12.26

文:間淳 / Jun Aida

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「自分に期待している証」 緊張を肯定的に受け入れる

 打席に立つと足が震えて力が発揮できない。ミスをする不安から思うような投球ができない。少年野球をやっていれば誰もが、このような経験をしているだろう。少年野球の“永遠のテーマ”である緊張と、どう向き合えばいいのか。日本スポーツ心理学会認定のスポーツメンタルトレーニング指導士・筒井香さんに話を伺った。

――練習を頑張っても、打席やマウンドで緊張して力を発揮できない野球少年・少女は少なくないと思います。どうしたら緊張を克服できるのでしょうか?

 すごく緊張している時に「こんなところで緊張してしまうなんて」と自己否定するのが一番マイナスです。緊張することに緊張してしまうと、思考が停止して行動をコントロールできなくなってしまいます。緊張した時に「どうしよう」と不安に思うのではなく、「これだけ練習してきたから、自分に期待しているんだな」と緊張している自分を肯定的に捉えると、「いい緊張」に変わっていくと思います。

――例えば、打席に入ったら緊張で思うように体が動かなくなってしまう選手がいます。どんなアプローチで臨めばいいのでしょうか?

 まずは「緊張は一生懸命練習してきた本気の証」と、緊張を認めて受け入れます。緊張を取り払おうとするのではなく、緊張していること自体を気にしないといった感じですね。また、過度に結果を気にすると緊張してしまうことがあるので、打撃フォームの確認事項や相手バッテリーの配球など具体的に自分がやるべきことに意識を向けて行動するのも対象法の1つです。力が入ってしまいがちな選手には深呼吸のような身体的なアプローチを伝えるケースもあります。

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