守備は川相流、打撃は大久保イズムを踏襲 ボーイズ関東大会制覇…元巨人戦士の指導術

「狭山西武ボーイズ」の福井敬治監督は巨人&広島でプレー

 中学硬式野球「狭山西武ボーイズ」は春の東日本王座決定戦「メニコン杯 第26回日本少年野球関東ボーイズリーグ大会」で初優勝を飾った。チームが創設された2013年から指揮を執るのは、かつて巨人、広島でプレーした福井敬治監督。現役時代に薫陶を受けた先輩たちのプレーを参考に、子どもたちを指導している。

 4日に東京・大田スタジアムで行われた武蔵嵐山ボーイズとの決勝戦を5-2で制した狭山西武ボーイズ。初のビッグタイトルに指揮官は感慨深げだった。「壁を破りましたね。ここまで行けるとは思っていませんでした。選手が試合毎に成長してくれました」

 46歳の指揮官は1994年ドラフトで3位指名を受け、智弁学園から巨人に入団した。6年目の2000年に1軍初出場を果たし、2002年には61試合に出場して優勝に貢献。2005年から広島で2年プレーした。通算268試合に出場した12年間の現役生活の中で、特に印象に残っているのが川相昌弘さん(巨人総合コーチ)と大久保博元さん(巨人打撃チーフコーチ)だという。

「守備は川相さんですね。一緒に練習させていただいて、真似して守備がうまくなりました。指導も、そこが基準になっています。基本を徹底的にしっかりやろう、しっかりアウトを取ってあげようというところです」

打撃指導の原点は大久保博元さんのフルスイング「まずは振らないと」

 守備練習を徹底した成果で、この大会では大きなミスがなかったという。全8試合で失点は13。「ディフェンス力」が参加180チームの頂点に立った原動力となり、「やっぱり野球は守備ですよ」とうなずく。

 打線も活発で、8試合で計70得点を挙げた。決勝では4番の市村心内野手が逆方向へ本塁打を放つなどパワフル。福井監督が推進する“フルスイング”が実を結んだ。「当てに行くのはやめようと。走者三塁でゴロを打つとかではなく、外野まで飛ばそう。三振してもいい。当てにいくな、外野を越えろと選手には言っています」

 その根底にあるのが、大久保さんの打撃スタイル。福井監督の巨人1年目が、大久保さんの現役最終年だった。「憧れの方。とにかく振っていた。あのフルスイングがイメージとして残っています。もちろん状況に応じてですが、まずは振らないと」と力説する。

 現在も交流は続き、今春の巨人キャンプを視察。「参考にして子どもたちに伝えています。やはりいいものは選手にどんどん伝えていきたいですね」。元プロが指導するチームは基本に忠実でしかもスケールが大きい。今回の優勝をステップに、夏はどんな戦いを見せてくれるだろうか。

(First-Pitch編集部)