子どもたちに「集中しろ」は逆効果 少年野球日本一監督が重視…飽きさせない工夫

文:First-Pitch編集部

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滋賀・多賀少年野球クラブ辻正人監督「少年野球のゴールは5、6年生」

 話を聞けない選手や練習に集中できない選手には、どんな指導が有効なのか。3度の日本一を経験した滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督が1月30日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」の会員を対象にしたオンラインイベントに参加し、指導者や保護者の悩みにアドバイスを送った。「小学生を一括りにしない指導」や「指導者の言動」に解決のヒントがある。

 多賀少年野球クラブには園児から小学6年生まで100人以上が所属している。全国大会には20年以上前から毎年のように出場し3度の優勝を誇るが、選手が増えたのは野球を楽しむチーム方針や練習メニューに切り替えてからだった。

 少年野球の指導者や保護者らが参加したオンラインイベントで講師を務めた辻監督は、日頃の疑問や悩みに関してアドバイスを求められた。その中の一つには、こんな質問があった。

「子どもの性格や野球への熱量によって、指導者の話を聞ける子どもと聞けない子どもがいます。辻監督は、どのように練習の内容やポイントを子どもたちに伝えていますか?」

 まず、辻監督は小学生を一括りにしないよう助言した。小学1年生と6年生では理解力や集中力が違うためだ。小学5、6年生を少年野球のゴールに設定し「小学校低学年にあまり高いレベルを求めすぎない方がいいと思います。話を聞けていないのは、まだ成長段階と考えてください」と伝えた。

選手に「飽きた?」と確認、「集中しろ」は逆効果

 そして、選手が話に耳を傾けなかったり、練習に集中力を欠いたりしている時は、指導者側に問題があるケースが多いと指摘した。指導者には子どもたちを引き付ける話術や練習の工夫が重要だという。

 大自然の中にグラウンドがある多賀少年野球クラブでは、選手たちが練習中に野球よりも昆虫に注意が向く時がある。選手を集中させようとするコーチに対し、辻監督は「コーチ、昆虫に負けてるよ」と声を掛ける。

「子どもたちが雑談を始めたり、別のことに関心を持ったりするのは、子どもたちが今の練習に退屈していると指導者が察した方がいいと思います。指導者は伝える力もすごく大事で、私は例え話や冗談を交える話術を磨く意識を持っています」

 伝え方や練習方法を工夫する辻監督だが、選手が飽きることはある。選手の様子を見て「飽きたか?」と聞いて「飽きた」と返答があれば、すぐに次のメニューへ移る。指導者には多彩な引き出しが必要と考えており「子どもたちは同じことの繰り返しが苦手です。指導者が『集中しろ』『自分がやるのを見てろ』というのは選手を集中させる練習にならないと思っています」と話した。

 選手が話を聞かない時や別のことに注意が向いている時は、選手に問題があるとは限らない。監督やコーチが自身の指導に改善すべき点がないか見直すことが、課題解決につながる可能性がある。

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