“自主性”の言葉に潜む危険性 少年野球で子ども任せは「大人の責任放棄」専門家が提言

文:First-Pitch編集部

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プロトレーナーの安福一貴氏はプロアマ合わせて4000人以上を指導

 最近は少年野球の指導者や保護者もよく口にする「子どもの自主性」。西武や巨人でプレーした片岡易之(当時、現・保幸)さんや元巨人の高橋由伸さんらをサポートし、学生スポーツも指導しているプロトレーナーの安福一貴さんは「子どもへの自主性は大人の責任放棄になりかねない」と指摘する。怒声罵声を上げず、責任を持ってサポートすれば、子どもは自然と自主性を身に付けると話す。

 西武で4年連続盗塁王に輝いた片岡さんをはじめ数々のプロ野球選手をサポートしてきた安福さんは、学生スポーツの指導も経験豊富。今月4日には東京・荒川区の中学軟式野球チームで指導した。

 学生、特に小、中学生の野球上達には指導者や保護者といった大人の役割が欠かせない。ひと昔前は当り前だった怒声罵声の指導が今は見直され、少年野球でも選手の自主性を掲げるチームが増えている中、安福さんは自主性という言葉に潜む危険性を指摘する。

「大人が子どもに求める自主性は、牧場に柵をつけるような役割が必要です。柵がなければ子どもたちは、どうして良いか分かりません。柵をつくらずに自主性は成り立たたず、それは大人の責任放棄です」

 経験が不足している子どもたちは当然、判断する力が十分ではない。大人がルールや判断材料も設けず全てを子どもに決めさせるのは、自主性とは言えないと安福さんは考えている。打撃や投球のクセが直らない選手に対して指導をあきらめる監督やコーチ、何度注意しても靴を揃えない子どもへの指摘をやめる保護者。こうした大人は、子どもが自ら選んだと理由付けして、責任を逃れているという。

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