全国初出場の土台に“恐怖の冬練” 選手の表情曇るも…あえて野球用具を使わないワケ

全日本学童軟式大会初出場、清水リトルモンキーズは冬場に徹底した下半身強化
つらい季節を乗り越えてこそ、“ご褒美”を手にできる。静岡市の学童野球チーム「清水リトルモンキーズ」は近年、静岡県内で安定した成績を残している。今夏は「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場する。“恐怖の冬”を経験した選手たちは、春になると力を開花させるという。
冬に雪が降らず温暖な静岡市では、年間を通して屋外で野球ができる。しかし、清水リトルモンキーズは12月から1月にかけて1か月間、野球用具を使わずに練習する期間を設ける。チームを指揮する杉山雄介監督が意図を説明する。
「つらいですが、そこを頑張り抜くことが最終的に自分に還ってきます。ファインプレーができたり、チームメートに感謝されるプレーをしたり、それが選手たちの喜びにつながります。楽しさやうれしさに至るには、必ずつらさや苦しさがあると思っています」
清水リトルモンキーズは火曜日と金曜日がナイター、土日は日中に練習している。杉山監督は冬場を下半身強化の期間と位置づけ、メニューを組み立てる。メニューは、グラウンドを20分間走る持久走や秒数を設定した短距離走など種類が豊富。さらに、腕立て伏せや反復横跳びなど10種類以上のメニューを30秒ずつこなすサーキットトレーニングなど、選手が飽きない工夫を凝らす。
選手たちは冬が近づくと、つらいトレーニングを思い出して表情が曇るという。だが、上達に不可欠な期間だとも理解している。杉山監督は「選手たちにとって、冬練は恐怖です。ただ、こなせる回数が増えたり、以前よりも疲れなくなったりすると自信につながります。冬を越えると体が強くなったと実感し、コツコツ継続する大切さも分かります。体が強くなれば、打撃も守備も自然と良くなっていきます」と話す。
2か月で素振り1万回のノルマ…目標達成で選手に自信

冬の期間は宿題も課す。1月1日から2月28日までの2か月間で、指揮官は素振り1万回を自主練習のノルマとしている。打力を上げるにはフォームも大切だが、そのためには土台となる振る力が不可欠となる。その土台は、選手自身にしかつくれない。杉山監督は語る。
「目標があると、上手くなりたい選手は頑張ります。そして、目標を達成したことで自信をつけ、自然と能力が伸びます。私は指導者が選手を上手くすることはできないと思っています。選手たちが成長する環境を整えたり、上達するヒントを与えたりして、やる気を引き出すことが役割だと考えています」
中には1万回をクリアしても満足せず、「1万2000回振りました」と指揮官に報告する選手もいるという。きついトレーニングにも積極的に取り組む選手もいる。冬を乗り越えた先に成長した自分を描くことができれば、苦しさの中に楽しさを見出せる。その姿をイメージさせるサポートが、指導者の役割と言える。
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