外遊びの“機会激減”で「スポーツやるのは危険」 子どもの運動神経低下が叫ばれるワケ

公開日:2025.04.24

文:First-Pitch編集部

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野球の技術向上には「小さい頃から多様な動作を行うことが大事」

 運動神経が「落ちている」と言われている昨今、子どもたちの能力を上げるには、遊びへの“原点回帰”が必要だ。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が23日、競技力向上に欠かせない能力や“センス”を磨く、5夜連続のオンラインイベント「運動神経向上LIVE」を開催。イベント3日目は、「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠氏、東京農業大学の勝亦陽一教授が登場し、遊び感覚で行うトレーニング法などを語った。

 近年は外遊びが減り、体を使う機会が限られている。だからこそ、今の子どもたちには「楽しみながら」身体感覚を育てることが求められている。この日は「野球×遊び」をテーマにイベントがスタート。身体操作に特化した敏腕指導者が注視しているのは、「昔の遊び」だった。

 昨今の子どもたちはコロナ禍や公園の遊具撤廃などがあり、外で遊ぶ機会が失われてしまった。これまで、当たり前のように得られていた経験や体験がなくなり、その結果、野球などのスポーツにおいて重要な身体操作能力の低下に繋がる懸念がある。高島氏も「ある意味、“危険性”の部分を耐えられない子が、スポーツをやるのは危険かもしれない。片足立ちができないなど、そもそも、立つのが不安定な子どもに技術を教えるのは難しい」と指摘する。

 外遊びができない環境、スマホや携帯ゲームの普及もあり、野球などの習い事でしか体を動かす機会は得られなくなった。勝亦教授は、だからこそ、今の子どもたちに必要なのが「遊びながら体を動かす」工夫だと語る。

パイプバーを乗り降りし、重心位置をコントロールする「パルクール」

東京農業大学の勝亦陽一教授【写真:伊藤賢汰】

 例えば、野球に必要な動きを習得するために提唱しているのが、昔遊びの定番の「鬼ごっこ」と「ケンケンパ」。鬼ごっこは全員が必死になって逃げ回るため、自然に運動量が増えるし、鬼から逃げるための切り返し、急停止といったステップワークも自然に身に付けられる。ケンケンパもリズム感とジャンプ要素があり、タイミングを合わせる能力も養われる。

「脳に刺激を与えつつ、体も動かせる。野球でも『気づいたら動いていた』などの本能や、無意識で体が動くことは重要です。トレーニング要素はもちろんですが、子どもたちは楽しみながら遊び感覚で没頭できる。最高のコンテンツです」(勝亦教授)

 NPBのオリックスやMLBのナショナルズでトレーナー経験を持ち、中学生硬式野球のコーチも務める高島氏が勧めるのは「パルクール」だ。細いパイプバーを乗り降りするなど、不安定な環境下で、自分の重心位置をコントロールしながら、筋力と瞬発力を養う。身体操作の土台を作るには打って付けのメニューだという。

 勝亦教授と高島氏は共に、「小さい頃から多様な動作を行うことが大事」と断言する。身体能力の向上は野球のスキルアップに直結していく。指導者や選手に向けた、パフォーマンスを上げる秘訣が詰まった「運動神経向上LIVE」は25日まで開催される。

「運動神経向上LIVE」4月25日(金)まで開催中…見逃し配信もあり

 Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、4月25日まで5夜連続でオンラインイベント「運動神経向上LIVE」を開催中。足の速さなどの俊敏性を身に付ける方法は? バットやボールの扱いをうまくするには? 選手や指導者、保護者が知りたい、野球などのスポーツ上達に必須の能力向上につながる練習法を、豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣がアドバイスします。参加費は無料。出演者などの詳細は以下のページまで。

【運動神経向上LIVE・詳細】

【参加はTURNING POINTの無料登録から】

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