榎下陽大さんは鹿児島工高、九産大を経て日本ハムへ
150キロに迫るようなボールを投げた剛腕投手にも、少年野球の選手だった時代がある。憧れのプロ野球選手は、どんな少年時代を送って成長していったのだろうか。今回は日本ハムの元投手・榎下陽大さんが少年時代に行っていた練習を教えてくれた。
「僕の場合は、壁当てですね。それも狙ったところに投げる壁当てです」
どういうことかと言えば、榎下家はコンクリートの壁の上に建っていた。そこには排水用のパイプが埋め込まれた丸い穴が空いていた。ちょうど、軟式ボールより少し大きい絶妙なサイズだった。この穴にボールをスッポリ収めるよう、狙いをつけて壁当てをするのだ。
「ボールとグラブさえあれば、1人でいつでも出来るのが大きいと思うんですよ。時にはサイドで投げたり、(野茂英雄投手の)トルネードを真似して投げたりもしていましたね。『こんな感じで投げたら、あの辺に行く』という感覚が身についたと思います」
現役時代の榎下さんの投球フォームは腕が真上から出てくる超オーバースローだった。その感覚は少年時代からの遊びで養われていったのだ。気が付けば壁は、軟式球を当てた跡で真っ白に見えるほどだったという。
「跳ね返り方はいつも違うから、守備の練習にもなりますよ。壁当てをしたことがないプロ野球選手って、いないんじゃないですか?」
ボールの“扱い”を覚えるため、投手にも野手にも利点があるトレーニングだ。
(First-Pitch編集部)