「投球は前で離せ」の本当の意味とは? 米国と正反対…球速アップに導く“肘の位置”

公開日:2025.03.01

文:間淳 / Jun Aida

XFacebookLineHatena

最速151キロ指導者推奨…ピッチングで「リリースは頭の後ろ」を意識づける“真上投げ”

 故障のリスクを下げたり、球速を上げたりするために重要なメッセージであっても、正しく伝わっていないケースは少なくない。「リリースは前」。この言葉も、選手や指導者に誤解されていることが多いという。愛知・名古屋市で米国式野球アカデミー「Be an Elite.」を運営する松本憲明さんは、「腕だけ前に出しても球は速くなりません」と指摘する。

 愛工大名電で甲子園に出場し、独立リーグの徳島インディゴソックスでプレーした松本さんは最速151キロの投手だった。球速が上がったのは、メジャーリーガーを目指して渡米した期間に受けた指導があってこそ。時に、日本でプレーしていた頃とは正反対の説明を受けたという。

 その中の1つが、「肘を前に出す動き」だ。投手が打者に近いところでリリースする大切さは、日本も米国も共通していたが、リリースする位置の考え方が異なっていた。松本さんが振り返る。

「日本で指導を受けていた時も、『リリースは前』『球を前で離す』と教わりました。ただ、打者に近い位置でリリースするために肘が前に出ていました。指導者になった今も小・中学生を見ていると、肘を前に出して投げている選手は多いです」

 松本さんは、肘が前に出る動きを「肘が抜ける」と表現する。肩甲骨が開いてしまうため球に力が伝わらず、球速や球威が上がらないという。球に力を最大限に伝えるには、肩甲骨を寄せた状態から体を回転させ、腕が遅れてしなるように出てくる動きを理想に掲げる。球は頭の後ろで離すことになるが、下半身の並進運動(体重移動)と上半身の回旋運動によって、結果的に打者の近くでリリースする動きになる。

「Be an Elite.」を運営する松本憲明氏【写真:間淳】

「リリースの時に肘は“耳の位置より前に出ない”イメージです。肩甲骨を寄せた状態から投球に入れるので力を大きく使えますし、肩や肘への負担を軽減できます」

 適切なリリースの位置を身に付けるために松本さんが勧める練習は「真上投げ」だ。文字通り、真上に球を投げるメニューで、頭の後ろで球を離す感覚を習得できる。最初は両足を肩幅に開いた状態から球を真上に投げ、慣れてきたら投球フォームのようにステップを入れて投げる。「できるだけ高く投げるのがポイント。真上に投げた球が、そのまま真下に落ちてくるのが理想です」。リリースは前――。言葉は同じでも、リリースに至るまでの動き次第で球速は変わってくる。

【実際の動画】「肘を前に出さない」投げ方への第一歩 米国流指導者オススメの「真上スロー」ドリル

球速アップの練習法も紹介…無料登録で指導・育成動画250本以上が見放題

 野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」(ターニングポイント)では、無料登録だけでも250本以上の指導・育成動画が見放題。First-Pitchと連動し、元プロ野球選手やトップ選手を育成した指導者、少年野球の現場を熟知する指導者が、最先端の理論などをもとにした確実に上達する独自の練習法・考え方を紹介しています。

■専門家50人以上が参戦「TURNING POINT」とは?

■TURNING POINTへの無料登録はこちら

https://id.creative2.co.jp/entry

トレンドワード