キャッチボールを「正確に速く」投げるコツは? 日本一回数を実現する“ゆっくり効果”

「キャッチボールクラシック」優勝チームの目的意識と相乗効果
少年野球に大切な基本練習であるキャッチボールで、気をつけるべきポイントは何か。昨年12月7日に福島市の福島県営あづま球場で開催された「キャッチボールクラシック2024全国大会中学生の部」で、参加者がそのヒントに触れた。シンプルだが簡単ではないキャッチボールに、明確な目的を持って取り組めるかどうかが技術向上の鍵を握る。
キャッチボールクラシックは、9人1組のチームが2分間で何回キャッチボールできるかを競う福島発祥の競技。5人と4人に分かれ、7メートルの距離を空けてボールを投げ合う。中学生の部には約40チームが出場。会場に来られないチームはオンラインで参加した。
大会にはいわき市出身の佐藤都志也捕手(ロッテ)、喜多方市出身の伊藤茉央投手(当時楽天、現役ドラフトで中日へ移籍)と福島ゆかりのプロ野球選手が駆けつけた。侍ジャパン日本代表の一員として11月の「プレミア12」に出場した佐藤は、選手たちに「(キャッチボールは)速さも大事だけれど、それ以上に正確に投げることが大事」と助言を送った。
その「正確さ」を体現したのが、135回を記録して優勝した石川・金沢市立長田中の9人だ。主将の山本雄大選手は「ゆっくり、コントロール良くボールを投げることを意識しました」と笑顔で振り返った。普段からボールを捕った瞬間に握り替え、相手の胸を目がけて正確に投げる練習を徹底しているという。
石川県は雪国のため、10月以降は今大会に向けた室内でのキャッチボール練習がメインになるが、約2か月間の反復練習が結果につながった。長田中を率いる松本健聖さんは「スナップスローや当て捕り(グラブを閉じず、土手あたりに当てたボールをそのまま握る捕り方)がうまくなるし、目がついてくるので打撃面で振り遅れもなくなります」と効果を実感している。
きっかけは東日本大震災…“福島発祥”競技が国内外に普及

キャッチボールクラシックが誕生したのは2011年。東日本大震災による原発事故の影響で外出できなくなった子どもたちのため、一般社団法人福島ベースボールプロジェクト代表理事の磯崎邦広さんら野球指導に携わる福島の教員が、「狭い室内でもできる競技」として日本プロ野球選手会に話を持ちかけたのがきっかけだった。
2013年からは全国大会を開催。コロナ禍時はオンラインで世界交流大会を実施し、中南米、アジア、アフリカの約20か国が参加した。誕生当時から普及に尽力してきた磯崎さんは「元々は福島の子どもに元気を届けるために始まり、今は野球の競技普及を目的にしている。オンライン開催にすれば多くのチームが参加できるし、プロ野球選手を呼べば福島にまで足を運んでくれるチームも増えます」と話す。
一方、簡単な競技に見えて技術向上のヒントが複数隠されており、長田中のように実際の試合に応用しているチームも少なくない。福島の地で生まれた競技が、さまざまな形で野球の未来に貢献している。
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