
豊富な投手陣の宮城仙北ボーイズ…ほとんどが入団時から球速大幅アップ
ボーイズリーグの全国大会「エイジェックカップ第55回日本少年野球選手権大会」で東北勢初優勝に輝いた中学硬式野球の強豪・宮城仙北ボーイズは、今年は最速140キロ右腕・菅原駿投手を筆頭に8人の投手を擁して戦った。次の代も投手陣は「7、8人」を見込んでいるといい、そのほとんどが、入団当時は120キロに満たなかった球速が、現在は130キロ前後までアップしているという。First-Pitchでは小学生・中学生世代で日本一を成し遂げた指導者に取材。投手育成に定評のある田中伸次監督に球速アップの秘訣を聞いた。
「ピッチャーに100を教えるとしたら、80は体重移動。下半身ができていない中学生に体重移動を教えるのは難しいけど、すごく簡単なやり方がある。例えば110キロを放っている子がいるとしたら、少し手で触れるだけで5キロアップします」。田中監督に投手育成のコツを聞くと、驚くべき答えが返ってきた。
宮城仙北ボーイズは、大崎市内の約300坪の敷地にビニールハウスを2つ保有しており、そこを室内練習場として使用している。投球練習ができるスペースは6か所。そんな充実した練習施設を訪れると、投球する投手の腰を手で押す田中監督の姿があった。
投球動作中の体重移動が速くなると、球速と制球力が向上するとされている。その際に重要になるのが下半身の使い方。ただ中学生年代は柔軟性を高める努力こそしているものの、下半身が出来上がってはいないため、手で押して体重移動の加速をサポートする。これを繰り返すと「体が勝手に覚える」という。
また田中監督は、「プレートは本来、蹴るためにある」と話す。投球の際に軸足でプレートを蹴る動きも体重移動を加速させるため、投球練習中は「蹴れ! 蹴れ!」という声が響き渡る。
プロを参考にするリスク「今の子どもはYouTubeを見すぎている」

体重移動が加速することで、プレーに力強さや素早さが出る「パワーポジション」がホームプレート寄りになり、球を受ける捕手がアドバイスしやすくなるのも利点の1つ。捕手は、高めに抜けた場合は「球を離す位置が後ろに寄っている」、ショートバウンドした場合は「球を持ちすぎて前で離している」など、状況に応じた具体的な声かけを行う。
YouTubeなどの動画投稿サイトから情報を得る指導者や選手も少なくない時代において、「手で押す」のはいわば原始的な方法。だが、田中監督は「今の子どもはYouTubeを見すぎている。同年代ならまだしも、プロ野球選手を参考にしすぎると、がちゃがちゃになってしまう。それよりも簡単な方法です」と断言する。
一方、「選手によって押し方は違うから、ほかの指導者が真似しようと思ってもその感覚はなかなかつかめない」とも口にする。投手の体格や柔軟性の有無によって押す力の強弱は変わるため、単純に見えて一筋縄ではいかない。
「中学野球は(投手の枚数が)多ければ多いほどいいし、将来を見据えて先発、中継ぎ、抑えすべてできるようにする」。田中監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。田中監督の手にかかれば、再び日本一を狙える投手陣が形成されるはずだ。
【実際の動画】“ゴッドハンド”で体重移動のコツを伝授 中学硬式強豪・仙北ボーイズの投球指導
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