
今夏“全国2冠”を達成、「東海中央ボーイズ」竹脇賢二監督が考案した外野守備練習
絶対に三塁打を許さない守備位置——。中学硬式野球で今夏、“全国2冠”を達成した「東海中央ボーイズ」は他チームに先駆けて斬新な外野守備練習を行っている。頭上を越えそうな打球を背走しながら追う動きを、4段階に分けて練習する。First-Pitchでは小学生・中学生世代で全国制覇を成し遂げた指導者を取材。創部13年目のチームを全国屈指の強豪に育て上げた竹脇賢二監督が、狙いと効果を明かした。
「外野守備が上手な選手は、体の切り返しがうまいんです。打球に一直線に追いついて捕球できる。僕もそんなふうになりたいと思っていたけど、高校でも社会人でも切り返しの練習はしたことがない。そもそも、切り返しの練習をしようという発想がありませんでした」
東海中央の外野手はまず、球を追わずにグラブをつけた状態で背走する(本塁側に背を向けて後方に走る)練習を繰り返す。ダッシュのようにも見えるが、上空を見上げながら右向きから左向き、左向きから右向きと何度も体の向きを入れ替える。短い距離から始めて、徐々に距離を延ばしていく。「最初は蛇行するし、切り返しもできないし、転ぶ選手もいます」。切り返しながら真っすぐ打球を追う感覚を養うのである。
「スピードが落ちる選手は腕が真っすぐ振れていない。切り返す時に手が体から離れて、体がブレてしまい、勢いが半減しています」。背走のスピードを落とさないように、無駄な部分を省いた動きを体にしみ込ませる狙いがある。
ある程度できるようになると次のステップに進む。指導者が手で投げた球を体の切り返しを入れつつ背走しながら捕球する。それが終わると、今度はノックで同様の動きを繰り返す。最後はシートノックで実戦さながらの打球を追う。
「東海中央の外野陣は鉄壁」「三塁打にさせない」

最初は球を使わずに切り返す動きを体に覚えさせ、最終的には実戦での応用につなげていくと「普通に球を追うのが楽に感じる」という。一直線に素早く落下点まで到達できるようになっていく。
「誰からも教わったわけではないですけど、この練習を取り入れてから、一気に外野手の守備力が上がりました。試合では同じような状況が起こりますし、今は東海中央の外野陣は鉄壁だと言われている。ポジショニングと、切り返しの動きで、三塁打にさせない練習を積んできています」
元々は「先攻を取って、とにかく攻めて攻めて攻めまくるというのが東海中央の野球スタイル」というが、今は守備力の強化を強く意識している。その中で「自分がしっかり理解して、選手にも理解させる」ことを重要視。「選手が理解して取り組めば、成長のスピードも上がります」と強調した。
近年はYouTubeなど動画を見て学ぶ選手も多い。「選手は動画などを見て知識は持っている。練習メニューを考える指導者が分かりやすく話をしていけば、選手の頭の中で『こういうことか!』と結びつく瞬間がある。だから僕も延々と勉強していかないといけません」と語る竹脇監督。強くなるために、既成概念にとらわれず独自の視点で貪欲に練習に取り組む。その姿勢が指導者と選手を、日々成長させていく。
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