ヤクルト戦力外→打診断り「色んな世界が見たい」 元プロ捕手が球児に伝える“責任と決断”

公開日:2025.03.06

文:橋本健吾 / Kengo Hashimoto

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元ヤクルトの西田明央氏は小学生から社会人まで、幅広い分野での指導者を目指していく

 昨年限りで現役を引退した元ヤクルトの西田明央氏が、第二の人生をスタートさせた。球団からはスタッフの打診を受けていたが「球団には感謝しかないですが、もっと色んな世界を見て勉強したい」と固辞し、少年野球から社会人野球まで幅広い分野での指導者を目指すことになった。

 西田氏は2010年にドラフト3位でヤクルトに入団し、2020年には小川泰弘投手とノーヒットノーランを達成するなど強肩強打の捕手として通算310試合に出場。レギュラーとしての時間は少なかったが、縁の下の力持ちとしてチームを支えた。昨年オフに戦力外通告を受け、12球団トライアウトに参加するも獲得する球団が現れず、指導者の道を選択していた。

 年始は元チームメートの自主トレに帯同し、雪が降りしきる2月下旬には地元・京都に戻り、野球界の未来を背負う子どもたちに向けた野球教室を開催。中学時代に京都選抜で教えを受けた甲斐省三監督が率いる「東山ボーイズ」の選手たちに向け、身振り手振りで熱い指導を行った。

 昨今はネットの普及により練習方法やトレーニングなど、あらゆる情報が得られる時代になったが「何をやっても間違いじゃない。ただ、自分に合ったものを選択して、継続する力をつけてほしい」とアドバイスを送る。捕手の指導でも「感性を大事にしてほしい。興味や疑問を持つことは大切。普段の何気ない会話、表情からでも気づけることはある」と、プロ14年間で培った経験を伝えている。

 野球のなかで捕手は特殊で大変なポジションとも言われ、子どもたちからも敬遠されがち。肩の強さ、キャッチング、ブロッキング、投手を把握した配球なども必要。また、試合の中で9割以上は中腰の姿勢で守ることになり、体力も必要だ。固定されやすいポジションでレギュラー争いも激しいが、西田氏はそれ以上のやりがいを口にする。

特殊で大変な捕手のポジションも「責任感や決断力は社会でも必要とされるている部分」

2月には地元・京都の「東山ボーイズ」で指導を行った【写真:橋本健吾】

「僕も捕手が楽しいなと思えたのは辞める3年前ぐらい。若い時は投手に向かって、『なんで投げられないの?』とか平気で言っていた。バッテリーは共同作業と言われますが、指導者や先輩たちから本当にそれを教えてもらいました。ミス1つに選手の生活がかかっている。勝敗のプレッシャーを常に背負い、打たれれば怒られる責任しかない。でも、その責任感や決断力は社会でも必要とされる部分で、将来、必ず役に立つ。たくさんの成功体験を得られるポジションだと思います」

 現役生活に一区切りをつけたが、これからの人生は「楽しみのほうが大きい」と胸を張る。指導者としての引き出しを増やしながら、野球関係のメディアにも積極的に出ていきたい願望もある。目標としている人物はヤクルトの先輩・坂口智隆氏だという。

「坂口さんと出会い、公私ともにお世話になる中で、生き様全てが大好きになりました。引退してからも野球に全力で、他のスポーツも勉強しながら様々な挑戦を続けている。人としてカッコいい生き方を歩んでいきたい」

 すでに北は北海道、南は沖縄と全国各地に足を運び、野球指導を含め勉強の日々だという。「今の僕には野球しか武器がないので(笑)。高校、プロでの経験をどう伝えていくか。球界への恩返しができればと思っています」。14年の現役生活は幕を閉じたが、まだ32歳。第2の人生は始まったばかりだ。

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