小学生に「逆シングル」指導!? 恩師の言葉で激変…あえて“リスクをとる”守備意識

公開日:2024.07.21

文:内田勝治 / Katsuharu Uchida

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福岡・久留米市で野球塾運営…流大輔さんは小学生にジャンピングスローも指導

 基本だけを教えることが指導ではない。時にイレギュラーなプレーへの対応力を身に付けさせなければ、上のステージで活躍する選手を育成することは難しい。福岡県久留米市で野球塾「Shootingstar baseball academy(SSBA)」を運営する流大輔さんは、独立リーグで活躍したノウハウを活かした、1人1人の個性を伸ばす指導に定評がある。First-Pitchでは、全国の注目野球塾の指導方針やこだわりの練習法などを取材。俊足巧打の内野手として活躍した現役時代、恩師から授かった“金言”が、流さんの指導者としての礎になっている。

 流さんは、地元の祐誠高校から、2008年に独立リーグの高知ファイティングドッグスに入団した。2011年には61試合に出場して33盗塁で盗塁王のタイトルを獲得。足と二塁守備には絶対的な自信があった。その可能性を見いだしてくれたのは、1999年にダイエー(現ソフトバンク)のコーチとしてチームの日本一に貢献し、2008年から高知の監督に就任していた定岡智秋さんだった。

「定岡さんはダイエー時代に川崎宗則さんらを育てた方ですが、川崎さんの高卒時より、僕の方が圧倒的に上だ、ということを言っていただきました」

 徹底的に叩き込まれたのは守備面での意識改革だ。それまでは「エラーをしない」ことを念頭に置いてプレーしていたが、定岡さんからは「アウトにするということを一番に考えなさい」と口酸っぱく言われ続けた。そこからは、「エラーを承知の上で、リスクを取りながらプレーをして、アウトを取りにいくことを大事にするようになりました」と言う。

 故障により引退を余儀なくされたが、定岡さんからの教えは、2015年から開講したSSBAで存分に活かされている。基礎をしっかりと指導した上で、逆シングルやジャンピングスロー、ベアハンドキャッチ(素手でボールを捕って送球すること)などを小学生クラスから導入。失策を恐れず、積極的にアウトを取りに行く技術を反復して体に覚えさせている。

中学軟式クラブチームの代表兼監督に就任…「指導の幅が広がった」

福岡県久留米市で野球塾を運営する【写真:本人提供】

「守備に関してはドリルを毎週変えて、逆シングルだけの日を作ったり、スローイングに特化した日を作ったりして、2か月ぐらいのサイクルで回しています。全部のプレーが起こり得ることで、ジャンピングスローやグラブトスにしても基本があります。そういうことをしっかりと教えていれば、いつかプレーで出せるんじゃないかと思っています」

 流さんはSSBAと並行して、2021年に中学軟式クラブチームの「久留米フューチャースターズ」を設立。代表兼監督として、チームを指揮する立場となったことで「指導の幅が広がった」という。

「野球塾だけをやっていると固定観念が強くなってしまいますが、今は、所属チームの指導法を尊重しながら、選手の引き出しをより増やすことを大切にしています。その方が、選手たちもケースバイケースで対応できるようになる、という考えに変わりました」

 SSBAの指導法は、8月5日から5夜連続で開催する「少年野球個人練習EXPO」でも紹介予定。独立リーグでトップ選手にまで登り詰めた流さんだからこそ、伝えられることがある。小・中学生に限らず、保護者や指導者も参考になる点は多い。

流大輔さん運営…「Shootingstar baseball academy」も登場!

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