“田舎町”の星に 部活動の地域移行…全国のモデルになりそうな中学軟式野球チーム

公開日:2023.03.09

更新日:2023.12.26

文:間淳 / Jun Aida

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スポーツ総合型地域クラブ「福知山ユナイテッド」は京都府福知山市に設立された

 教育現場も家庭も不安が解消されないまま、中学と高校の部活動は転換期を迎えようとしている。教員の働き方改革の一環で、新年度から部活動は段階的に地域へと移行される。活動場所や指導者の確保、費用負担など課題に直面する地域が多い中、京都府福知山市で全国のモデルとなりそうな取り組みが進んでいる。スポーツの総合型地域クラブを掲げ、「福知山ユナイテッド」が昨年7月に発足。中学軟式野球クラブ「中丹オールスターズ」も誕生。軟式野球を続けたい子どもたちの受け皿になっている。

 京都府の北部に位置する福知山市には、7万7000人ほどが暮らしている。全国にある“田舎町”と大きく変わらない地が今、スポーツの町へと変化しようとしている。

 中心を担うのは一般社団法人「福知山ユナイテッド」。スポーツの総合型地域クラブを掲げ、昨年7月に発足した。中学校の部活が地域移行される動きを受け、子どもたちがスポーツを楽しめる環境をつくっている。大きな特徴は競技の多様性と指導の専門性にある。

 新年度から本格的に始動する福知山ユナイテッドに所属すれば、選手は野球やサッカー、バスケットボールやバレーボールなど様々な競技に取り組める。特定の競技に絞る必要はなく、複数のスポーツを同時に経験できるのだ。活動は週1~2日で、それぞれの競技に専門的な知識を持つ指導者がいる。福知山ユナイテッド代表理事・片野翔大さんはクラブ立ち上げの理由を、こう話す。

「部活動は学校単位なので、子どもたちが選択できる競技が限られてしまいました。中学生世代で競技を1つに絞ることは子どもたちの可能性を狭めてしまうかもしれないと感じていました」

 昨年末に開催した体験入部会では、参加者が複数の競技に触れる異例の内容だった。野球のユニホームを着た選手がバスケットボールを手にシュートを放ち、短パン姿のサッカー経験者がバットを握った。

【次ページ】中学軟式野球クラブ「中丹オールスターズ」が地域の選手の受け皿に

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