
青森山田シニアの138キロ左腕・成川蒼空と135キロ右腕・八戸颯士
成長段階の中学生は、いかにしてスピードボールを手に入れるのか――。中学硬式野球の強豪「青森山田リトルシニア」には、最速135キロを超える左右の二枚看板がいる。最速138キロ左腕の成川蒼空投手と最速135キロ投手の八戸颯士選手(ともに3年)だ。中学野球界屈指の逸材コンビに、球速アップの秘訣や今後の展望を聞いた。
成川は千葉県柏市出身。幼少期から父の指導を受けて育ったといい、自宅ではバドミントンのシャトルを打ったり、小さいボールを細い約1キロのバットで打ったりして特訓を重ねた。「お父さんと似ている監督のもとで野球をやろう」と、中條純監督率いる青森山田シニアへ。「今の中学生の野球ではなかなかいない監督。口うるさく言う人(指導者)が少ない中ではっきりと言ってくれるので、この先の人生の、野球以外のことにも生かせると思っています」と情熱的な指揮官を慕う。
小学生の頃から125キロに迫る球速を計測していたが、当時は「なんで速いのだろう」と不思議に感じていた。中学生になってからトレーニングに力を入れ始めると、さらに大幅にアップした。中でも効果的だったのが、重さのあるメディシンボールを上下に投げるトレーニングだ。全体練習でトレーナーに教わりながら実践するだけでなく、空き時間を使って自主的に取り組んだ。
また、直球の回転数も約2300回転と驚異的な数字を誇る。菊池雄星投手(ロサンゼルス・エンゼルス)がプロデュースしたトレーニング施設「King of the Hill」(K.O.H)でボールへの力の伝え方を教わった結果、回転数が上がり、空振りを奪える直球を投げられるようになったという。
中学生離れした数字をたたき出す成川だが、本人は「速い球を投げられるのは嬉しいですが、この体でだいぶ出力を出しているので、怪我をしないよう気にかけています」と冷静に話す。現在は身長172センチ、体重64キロ。先を見据え、ストレッチによるケアを怠ることなく練習に励んでいる。
ともに侍ジャパンU-15日本代表まであと一歩

一方、八戸は成川に対して「仲間だけど負けたくない部分はある。球速は差がありますが、自分としてはライバルだと思っているので、成川に追いつきたい気持ちでやっています」と対抗心を燃やす。
青森県平内町出身とあって、青森山田シニアには小学生時代から「厳しい環境で練習も長い」との印象を抱いていた。中條監督に声をかけられた当初は「ついていけるか不安で、行く気がなかった」というが、日本一を目指せる環境に惹かれて入部。今では「日本一を奪還して、もう一度全国に青森山田の名前を広めたい」と強い気持ちを持ってプレーしている。
八戸も球速アップの要因の一つにメディシンボールを使ったトレーニングを挙げた。「監督や外部コーチの方が自分に合ったトレーニングを見つけてくれて、そのおかげで球速が伸びました」と恵まれた環境に感謝する。中学卒業までに140キロ突破、高校で150キロ到達が目標で、今もスピードを追い求めている最中だ。
好きな選手に松井稼頭央氏(元西武など)を挙げるように、野手としての将来も思い描く。どちらにせよ、「いつかメジャーに通用するような選手になりたい」と夢は大きい。
成川と八戸は侍ジャパンU-15日本代表最終選考まで残り、選出される可能性も大いにある。「青森山田の選手という自覚や責任を持って、今まで取り組んだことを生かしたい」(成川)、「日本代表は一番近い目標。入るチャンスがあるからには結果を出して目立ちたい」(八戸)。二人の名が全国に轟く日はそう遠くないはずだ。
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