元ロッテ・小林雅英氏とモデルの野球女子・坪井ミサトさんが対談
野球人口の底辺拡大のためにできることは何か。Full-Countでは女子野球の「今」を伝える連載をスタート。第1回はロッテや米大リーグ・インディアンスでプレーし、昨年は女子プロ野球の指導者を務めた小林雅英氏と中学まで軟式でプレーしたモデルの坪井ミサトさんとの対談。女子野球の地位の向上、今後、野球界がやっていくべき私案を披露した。鍵となるのは「お母さん」の存在だった。(2020年12月13日、Full-Count掲載)
小林 以前は野球は教育の一環という見方が少なからずありました。挨拶や人間関係、学校では教わらないような、集団生活で大事なことなど、自然に学んでいましたよね。今はそこまで、考えていないというか、チームに求めていないのではないかと思う。
坪井 教育の観点でいえば、私も人としての在り方を教えてもらったのは野球でした。お父さんが挨拶、礼儀を重じていたので、地域では一番“うるさく”言う監督、コーチのチームに入りました。それが今に生きているなと思っています。父と母はそれを理解して、チームを選んでくれていたので、すごくありがたい環境でした。
小林 僕は昨年、野球教室をやりながら学童野球の監督やコーチ、保護者の方から直接、話を聞くことができて、少年少女野球の実情を知りました。女子プロ野球も1年間コーチをさせていただいたので、野球をする女性のモチベーション、情熱を感じることができました。思った以上に野球ができていた。でも、周りの指導者次第でまだまだ伸びる。もっとレベルは高くなっていくと思います。
坪井 私もそう思います。野球が上手くなる環境がもっと必要なのかなと感じています。例えば、高校野球。今は増えてきましたけど、それでも女子硬式野球部がある学校は少ないです。中学生の時、一学年上の先輩がいたので私も入部しましたが、女子が1人だったら、やっていなかったかもしれません。高校ではいなかったので続けるのを断念してしまいました。
小林 僕は山梨の田舎育ちだったから、人がいないと野球が成り立たない場所でした。女の子が入ってくれないと、野球ができなかったりしましたね。
坪井 私も田舎育ちなんでサッカーではなく、周りは野球でした。高校は、男子と一緒の硬式野球部でやる考えもありましたが、公式戦は女の子が出られない。それなのに野球を続けられるかなという不安がありました。寮生活が義務化で、そこまでできる勇気がなかったので、私は野球をやめてしまったんですが、通いで女子野球部という環境があったならば、続けていたと思います。
小林 女の子たちだって、絶対に負けたくないという強い思いで野球をしている。小、中学校で男の子に負けるものか、日に焼けることなんて気にしてないし、練習も一生懸命やる。そういうところを見ていて、この選手たちが今後、良いパフォーマンスをしてくれたらいいなと思う。五輪競技の女子選手のトレーニングって凄いじゃないですか? 野球はそこまで行っていない。
坪井 そうですね。妹が大学で女子野球をやっています。そういった環境があるというだけでも、女の子からしたら、野球をずっと続けられるというのはすごく嬉しいです。ありがたい環境だなと思います。中学、高校と女子が野球を続けられる環境が増えて欲しいです。