“全面禁止”の高反発バットを「今買うべき?」 学童野球の親を揺るがす2029年問題

更新日:2026.06.05

文:石井愛子 / Aiko Ishii

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学童野球では2029年から「高反発バット」使用が全面禁止に

 学童野球では、2029年から「高反発バット」の使用が全面的に禁止されることになり、大きな話題となっている。実際にバットを購入しに来る保護者は、このルール変更をどのように受け止めているのだろうか。千葉県鎌ケ谷市にある「超野球専門店CV」代表の中村勇太さんに話をきいた。

 外表面にウレタン・スポンジなどの弾性体を取りつけた「高反発バット」は、2025年から一般用(大人用)の学童での使用が制限され、2029年からは少年用も含めて全面禁止になる。保護者の反応は、「なぜ禁止するのか」といった反発よりも、「仕方がない」と受け止める声が圧倒的に多いという。

「バットの性能差によって、飛距離や打球速度が大きく変わりすぎていることに違和感を抱いていた親御さんも少なくなかったと思います」と中村さん。そもそも、全日本軟式野球連盟が全面禁止に踏み切ったのは、打球の飛びすぎによる選手の安全面に「万全を期すため」である。グラウンドでプレーを見守る保護者や指導者ほど、“飛ぶバット”がもたらす影響の大きさを肌で感じており、今回のルール改正についても、一定の理解を示しているようだ。

 実際に、店を訪れていた小学6年生の野球少年を持つ父親に話を聞くと、「試合に勝とうと思うと、圧倒的に高反発バットが有利」と認めつつ、全面禁止によって、これまで以上に普段の練習の努力や成果が結果に反映される環境になることに期待を寄せていた。

 中村さんによると、「2029年のルール改正が大々的に報道された後は、特に4年生以下の保護者さんは敏感になっているように感じます」という。ちょうど、チームの主力となる高学年になった時と禁止のタイミングが重なる世代だ。現時点での活躍を重視すべきか、それとも将来を見据えて金属バットにしておくべきか、判断に迷う家庭は多いようだ。「改正を見据えて、あえて高反発バットを購入しないという家庭も少なくないですね」という。

まずは「打球が飛ぶ楽しさ」を感じることも大切

「超野球専門店CV」代表・中村勇太さん【写真:石井愛子】

 相談に来る保護者に対し、中村さんは「将来的に高反発バットが使えなくなるからといって、過度に心配する必要はありません」と伝えているという。「野球を始めたばかりのお子さんであれば、まずは打球が飛ぶ楽しさを感じることが大切」とも考えるからだ。

「高反発バットで得られる、ボールが遠くまで飛ぶうれしさや、ヒットが打てた時の喜びは、子どもたちが野球を続けていく大きな原動力になります。低学年の時期は、技術だけでなく、そうした成功体験を積み重ねることも重要だと思います。一方で、早く上達したい、技術を磨きたいという気持ちが強いお子さんであれば、芯で捉える感覚を身につけるために金属バットを選ぶのも良い選択です」

 高反発バットと金属バットでは飛び方に違いはあれど、バッティングの基本技術そのものが変わるわけではない。大切なのは、ルールに振り回されるのではなく、今この時期に、わが子に何が必要かを見極めること。その軸さえぶれなければ、どんなバットでも、選んだ一本はきっと子どもにとって最良の相棒になるはずだ。

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