子どもが野球で伸び悩む意外な原因 “スポーツビジョン”が競技力向上に与える影響

更新日:2025.08.25

文:楢崎豊 / Yutaka Narasaki

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連載②視力低下が奪う子どもたちの可能性と解決策

「お前、見えているのか?」。野球の現場でよく聞かれる言葉だが、実際に視力がスポーツパフォーマンスに与える影響は想像以上に大きい。一方で、眼鏡でのプレーには怪我のリスクが伴う。スポーツをする子どもたちの視力問題に、どう向き合うべきなのか。メニコン研究員の平田ひかる氏に解決策を聞いた。

 スポーツにおいて「見る力」がどれほど重要かを示すデータがある。メニコンが行ったスポーツビジョン測定では、視力が1.0以上の子と1.0未満の子を比較すると、明確な差が現れた。視力の悪い子は、動体視力や深視力といったスポーツに必要な「見る力」も劣っていたのだ。

「きちんと矯正されてよく見えている状態でプレーしていただいた方が、運動パフォーマンスも向上する傾向があります」と平田氏は説明する。

 スポーツビジョンとは、動体視力(動いているものを見る力)、深視力(奥行き方向の立体感を捉える力)、眼球運動(対象物に合わせて、眼球を動かす能力)、周辺視野、瞬間視、眼と手の協調性、集中力といった、スポーツをする上で重要とされる「見る力」の総称だ。視力が良好であることが、これらすべての能力の基盤となる。

 しかし、野球などのコンタクトスポーツでは眼鏡での参加に不安を感じる保護者も多い。衝撃による怪我のリスクは確実に存在するからだ。そこで注目されているのがオルソケラトロジーという選択肢だ。

「夜間に特殊なハードコンタクトレンズを装用することで角膜の形状を変化させて、日中は裸眼で過ごせるようになります。裸眼の状態で、眼鏡をかけている時と同程度かそれ以上にクリアに見えるようになります」(見え方には個人差がある)。

オルソケラトロジーの仕組みとは?

メニコン研究員の平田ひかる氏【写真:編集部】

 オルソケラトロジーの仕組みは独特だ。ハードコンタクトレンズと角膜の間に涙の層ができ、その涙が陰圧を生じて角膜が変形する。効果は一晩である程度現れるが、完全な効果が出るまでは1〜2週間程度。毎晩装用する必要があるものの、日中は完全に裸眼でスポーツに集中できる。ソフトコンタクトレンズという選択肢もあるが、運動中に目が乾いてコンタクトレンズがずれるなどの問題が起こる可能性がある。

 指導者にとっても、選手の視力管理は重要な課題だ。「スポーツのパフォーマンスが落ちている原因の一つとして視力があるかもしれないということを、認識しておいていただけると有意義だと思います」と平田氏は穏やかに話す。怪我をさせない配慮と同様に、子どもの健康管理の一環として視力への注意が求められている。

 スポーツに限らず、子ども本人の生活の質を保つためにも良好な視力を維持することは重要だが、成長期の子どもにおいては、体の成長とともに眼球のサイズが変わることで近視が急速に進行することがある。

 実際に、子どもの近視は驚くほど早く進行する。半年間で視力が大幅に低下することも珍しくない。「様子を見よう」と躊躇している間に学校から視力検査の用紙をもらってきて、慌てて眼科を受診するケースが後を絶たない。

 むしろ、問題が深刻化する前の早期受診が重要だ。歯科検診で虫歯予防が当たり前になったように、眼科での定期チェックも習慣化することで、子どもの眼科に対する抵抗感を減らすことができる。プロスポーツ選手が体のメンテナンスを欠かさないのと同様に、子どもたちにとっても目の健康管理は将来への投資なのだ。

「見えない基準」が曖昧な子どもたちに対し、指導者や保護者が「本当の意味で見えているのか」を確認し、適切な対応を取ることが、子どもたちの可能性を最大限に引き出すカギとなる。

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