ソフトバンク・武田、ヤクルト・村上を初めて見た時の“衝撃”
今年も10月11日「2021年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が行われる。プロ志望届の提出も終わり、多くの金の卵たちが指名を待つ。巨人でスコアラーや編成本部統括ディレクターを務めた三井康浩氏はかつて、球団のスカウト部長とともに全国のアマチュア選手を見て周り、“最終決断”を下したこともある。進路についてリサーチするFirst-Pitchの連載「セレクトデザイン」第2回は、プロのスカウトは選手のどの部分をチェックしているのか。性格や特徴などを聞いた。
三井氏は巨人でチーフスコアラーなどを務めた後、編成の仕事を任された。スカウトたちがリストアップした選手たちに対して、指名するかどうかの判断が難しい時に、その選手を見てきた眼でアドバイスを送っていた。
「投手だったら、ストレートの質です。空振りが取れるのか、ファウルを奪ってカウントを作れるか……。それを試合で必ず見ています」
高校、大学で150キロの直球を投げていても、簡単に打たれるストレートならば、その名はリストから消える。スピンの量が少なかったり、キレがなければ、打たれるのは当然。捕手のミットに収まるまで“垂れない”かどうかも重要だ。
「変化球だったら、捕手が構えたところにボールがいくかどうか。抜ける変化球が目立つ選手はNGです。見に行った選手でコントロールが悪い、スライダーの緻密なコントロールがまったくないというケースもありました。でも、別の日は調子がいいということもありますので、1回だけで判断することはほとんどないです」
過去に見に行った選手で忘れられない投手と打者がいる。「見る人が見れば、彼らはドラフト1位の選手だとわかりますよ」と思い出すのが、2011年のドラフト会議でソフトバンクに1位指名された武田翔太投手(宮崎日大高)と、2017年にヤクルト1位の村上宗隆内野手(九州学院)。巨人は2011年は菅野智之投手(東海大、日本ハムと1位競合)を指名、2017年は外れ1位で村上を指名もヤクルトと競合し、くじを外した。残念ながら縁はなかったが、高校時代の彼らを初めて見た時には「すごかったですね」と振り返る。
「武田投手は素晴らしかった。背丈、手足の長さ、球持ちの良さ……。その中で1番、目を引いたのは低めの伸びです。村上選手はインコースがつまる印象がありましたけど、この長打力は他にはいないな、と。打球の角度、弾道が高いアーチ、背筋や腕力、スイングの速さを見ても、絶対に将来、クリーンアップを打てる逸材だと思いました。