5年で全中V3…駿台学園中はなぜ強い? 中学生の“弱み”克服、実力を示す「1」

更新日:2026.10.22

文:磯田健太郎 / Kentaro Isoda

XFacebookLineHatena

全国中学校軟式野球大会で連覇…駿台学園中は“スピード感”を追求

 3度目の歓喜の裏には、選手の心身を大きく成長させる工夫があった。8月18〜22日に島根県で行われた第48回全国中学校軟式野球大会(全中)で、東京・私立駿台学園中が2年連続の優勝を果たした。2022年に初優勝を果たして以来、5年で3度の頂点を掴んでいる同校の強さの秘密は、練習から追求する“スピード感”にあるという。

 駿台学園中の特徴は、堅い守りからリズムを作る野球をすることだ。チームを率いて16年目となる西村晴樹監督は、長い指導歴の中で、中学生の守備には“弱み”があると語る。「ボールデッドでの状況確認や指示はできるんですが、プレーが動いている間に呼んだり、指示ができない選手が多いんです」。長打を許した後の中継プレーや、複数の走者が動く場面で指示の声が出ないことで、不必要な進塁を許し、ピンチの拡大や大量失点に結びつくと明かす。

 そのために選手たちに普段の練習から課すのが、「スピード感を出すこと」だ。ボール回しは約半分のサイズのダイヤモンドを複数作り、ターンやタッチプレーも交えながら、高速で何周も行う。シートノックでも、前の選手の送球完了を待たずにどんどんとボールが繰り出される。

 スピードが出ると、素早い状況判断と正確なプレーを同時に行う必要がある。握り変えや足のステップをより意識して行い、ボールがどんどん飛び交うため指示の声も出るようになる。練習から慣れておけば、試合の緊迫した場面でも、瞬間的に声を出しながら正しく動けるようになるという構造だ。

 昨年のNPBジュニアトーナメントで巨人ジュニアの主将を務めた篠田凌内野手(1年)も、入学当初はこのスピード感に面食らったというが、「普段から慣れていると試合中でも考える余裕ができます。『こんな打球が来るかもな』と準備ができるようになって、エラーが減りました」。入学半年ながら厳しい練習に食らいつき、成長を実感していた。

 実際に試合でもスピード感で対戦相手を圧倒する。バッテリーはあっという間にポンポンとストライクを取り打者を追い詰める。素早い意思決定と状況判断に慣れているため、バッテリーでサインが食い違うこともない。守備は短く攻撃は長く。野球のセオリーを体現するような戦い方ができる。

堅守の鍵を握る“主体性”…スピード感で圧倒した「1」の凄み

5分間ゲームではイニング間の準備を全員で行う【写真:磯田健太郎】

 1イニング表裏を5分間で終わらせる紅白戦、通称「5分間ゲーム」も駿台学園中の特徴的な練習メニューだ。打者はファーストストライクを必ず打ち、打順や投手交代のタイミング、ランナーコーチの順番も自分たちで管理することで、学年やポジションを問わず、全員が「この状況で必要なこと」を主体的に考えるようになる。

「守備は判断の連続なので、精神的に未熟だと中継プレーやサインプレーを試合で遂行できません」。そのために主体的に考える力を磨き、人としての成長を促すと西村監督は明かす。

 中学軟式野球は成長期を迎えることによる体格差のハンディがあることや、軟球でボールも跳ねることでミスも起きやすい。たった1つのエラーが起点になり、致命的な失点に結びつくこともある。

駿台学園中・西村晴樹監督【写真:磯田健太郎】

 しかし全中では、優勝までの5試合で許した失点はわずかに1。唯一無二のスピード感で磨いた技術と判断力が、優勝の大きな原動力になったといっても過言ではないだろう。

「野球の技術だけで差をつけるのは難しいですから。少しでもプレー以外のところで差をつけていかないと、高校野球でも人間的に埋もれていってしまうと思うので」と西村監督。技術だけではない、チームに必要な選手になるための、将来を見据えた育成哲学がにじむ言葉だった。

【実際の動画】唯一無二の「スピード感」で作り上げる堅守の基礎 駿台学園中のボール回しの様子

読んで理解したら、次は練習で試す

 理論を知るだけでなく、実際に動作を確かめながら体に落とし込むことが大切です。記事のような様々な練習法を家庭やチームの練習に生かしたい方は、First Pitchと連動する野球育成サービス「TURNING POINT」(ターニングポイント)をご活用ください。動画では、投げ方・打ち方から食事や声かけまで、専門家の解説を何度でも見返せます。

 さらに、イベントでは専門家の解説をリアルタイムで聞け、会員限定コミュニティでは保護者・指導者・講師がつながって悩みや解決策を共有できます。毎週水曜には、野球の経験がその後の人生にどう生きたかをFirst Pitch編集部が取材した、TURNING POINTでしか読めない連載も届きます。

 今なら10月限定のリニューアル記念キャンペーンで、初月無料で始められます。この機会に、次の練習から試してみてください。

期間限定の初月無料キャンペーンを詳しく見る
✓ 10月31日までの限定キャンペーン ✓ 動画で学び、イベントで深め、仲間と相談できる

 辻正人さん(多賀少年野球クラブ監督・全国大会3度優勝)、菊池タクトさん(野球スキルコーチ)、高島誠さん(元オリックス・MLBトレーナー)、渡邊元美さん(元横浜高校野球部寮母・管理栄養士)をはじめ、元プロ野球選手など70人以上の指導者・専門家が出演しています。

■TURNING POINTの特徴を詳しく見る

トレンドワード