
少年野球の緊張と向き合う方法と指導者に必要な心構え
少年野球において、練習通りに試合で力を発揮できないという悩みは尽きない。この原因を「メンタルの弱さ」と結論づける前に、技術的な習熟度や指導者の関わり方を見直す必要がある。専門家や指導者は、緊張をエネルギーと捉えたり、技術の裏付けが先決だと指摘したりしている。
・メンタルトレーニングの適切な導入方法とは。
・試合で緊張するのは、単にメンタルが弱いからなのか。
・緊張してミスした選手に、大人はどう声をかけるべきか。
青森の少年野球チーム「八戸ベースボールクラブ」では、メンタルトレーニングを頻繁に導入した結果、選手が声を出して盛り上がれるようになり、チームに一体感が生まれるなど如実に効果が現れたという。一方で、主要大会の最終回に逆転負けを喫する場面もあり、精神面を鍛える難しさも実感。同クラブの指導者は、メンタルトレーナーの言葉以上に、常に一緒にいる監督・コーチの言葉が子どもに届きやすいと分析。メンタルトレーニングの比重を下げる一方、日頃から前向きな声かけを心がけるようにし、「学童は失敗ありき」とある程度のミスを許容しつつ、「練習でやったことを試合で出そう」と伝え続けている。
野球講演家として活動する年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんも、メンタル以前に土台となる“技術の必要性”を強調している。技術不足をメンタルの問題にすり替え、言い訳にしてしまう選手や保護者の姿を見てきたといい、試合で結果を残せない選手の特徴として、「結果を考え過ぎている」点や、「練習と試合が一本でつながっていない」点を指摘する。試合はあくまで練習の延長線上にあり、練習を楽しく行い、試合だけ特別な感情で気合を入れようとすると、かえって過度な緊張を生んでしまう。メンタルの強弱を議論する前に、練習への意識や習得すべき技術を見直すことが、試合での活躍につながる。
スポーツ選手や社会人へのメンタルトレーニングを指導する石井亘さんは、緊張を「力を発揮したい」という前向きなエネルギーの表れだと解説する。ストレスとパフォーマンスの関係は「逆U字」を描き、適度な緊張状態があるからこそ集中力が生まれ、最高の力が引き出されると説明する。そのためには、選手が過剰にストレスを感じたり、逆に気持ちが緩んだりしないよう、タイプ別に適度なプレッシャーや緊張緩和のサポートが求められる。具体的な方法として、腹式呼吸で心身をリラックスさせる方法や、過去の成功体験の動画を見て良いイメージを作る方法を推奨している。
試合での緊張は、単に「メンタルが弱い」のではなく、技術不足の反映であったり、逆に「力を発揮したい」というエネルギーの表れであったりする。大切なのは、技術の習熟度を冷静に見極め、選手のタイプに応じた適切なサポートを行うことだ。日々の練習から指導者が前向きな言葉をかけ、時には失敗を許容する姿勢も選手の成長を後押しする。
・チームの一体感を高める効果はあるが、指導者の日常的な言葉かけも同様に重要だ。
・技術不足が原因の場合もあり、練習内容を冷静に見直す必要がある。
・失敗を責めず、本人の気持ちに共感し、不安を取り除く声かけが求められる。
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