「メンタルが弱い」は言い訳 少年野球の識者が指摘…実力を出せない本当の“要因”

公開日:2023.07.18

更新日:2023.12.26

文:間淳 / Jun Aida

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多賀少年野球クラブ・辻正人監督「技術指導を伸ばすのがメンタル」

 メンタルは鍛えられるのか。小学生の野球指導で豊富な経験を持つ2人が、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のイベントで経験談を語った。試合になるとパフォーマンスを発揮できない選手には、メンタル以外の部分に課題があると指摘した。

 練習では打てるのに、試合になると結果が出ない。ブルペンとマウンドの投球が変わってしまう……。こうした悩みを持つ選手、指導者や保護者は少なくない。原因に「メンタルの弱さ」を指摘されるケースが多いが、チームを立ち上げて35年が経つ滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、こう話す。

「裏付けされた技術指導があって、それをさらに伸ばすのがメンタルだと考えています。メンタルに偏り過ぎると、習得できる技術が少なくなってしまいます」

 辻監督はチームを3度の全国制覇に導いている。練習にメンタルトレーニングは取り入れていない。それでも、選手は試合で過度に緊張することはなく、練習と同じようにプレーできるという。

 試合で起こり得る場面を練習し、想定外のない状態で試合に臨んでいるため、必要以上に緊張しない。辻監督は「メンタル」について誤解があると感じている。試合になると打てなくなると訴える選手や保護者の中には、打撃の技術が不足しているケースが多いという。

「1試合で3打席立つとしたら、打撃練習で3球のうち1球は安打性の打球を飛ばせなければ、安打の出ない試合がある計算になります。練習で10球のうち2球しか安打性の当たりを打てないのであれば、問題はメンタルではなく技術にあります。安打性の打球は印象に残りやすいので、練習では打てていると考えがちですが、技術を習得できているのか冷静に判断する必要があります」

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