中学野球でも進む“脱丸刈り” 競技人口減に歯止め…指導者実感「トレンドになっていく」

公開日:2023.08.18

更新日:2023.12.26

文:内田勝治 / Katsuharu Uchida

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取手リトルシニア・石崎学監督は「丸刈りとか長髪とか関係ない」

 中学硬式野球5団体が一堂に会する「第17回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」。高校野球の「脱丸刈り」の流れを受け、スポーツ刈りや、風になびく長髪もいるなど、各団体やチームによって髪型もさまざまだ。

 静岡裾野リトルシニアは3年ほど前から丸刈りをやめ、髪型を自由にした。佐藤裕徳監督は「丸刈りだと野球をやりやくないという子が増えてきている。そうすると選手も入ってこなくなる」と方針転換。「自分が現役の頃は丸刈りで、長髪の学校には絶対に負けたくないという気持ちはありましたけど、今は特にはないですね」。自主的に丸刈りにする選手もいるが、長髪の選手が圧倒的に多いという。

 武蔵府中リトルシニア(東京)も3年前から自由化し、今は丸刈りと長髪で半々だ。小川紀輝監督は「髪型は強制していません。伸ばす子も増えてきましたね。ただ、スポーツをやる上でだらしなくならないようにとは指導しています」。主将の大鳥源太内野手は「野球をするうえで髪型は関係ないと思います。ただ、伸ばすといろいろ言われる風潮は残っていると思うので、振る舞いや礼儀はきっちりしないといけない」と、長髪にすることで自覚ある行動を心がけているという。

 取手リトルシニア(茨城)や高崎中央ボーイズ(群馬)は、創部当初から髪型に規定を設けなかった。取手の石崎学監督は「自分が学生の頃から丸刈りとか長髪とかは関係ないと思っていました。だから自分のチームを作った時から自由にしています。ただ、『野球をやる人は丸刈り』と決めている家庭もあるので、ポツポツと丸刈りもいますけど、長髪の方が多いですね」。

 高崎中央の倉俣徹監督も「ヘアスタイルで野球をやっているわけではないので。トレンドになっていくのではないでしょうか。理解がある監督が増えていると感じます」と同調する。最初から髪型が自由ならば、父兄からの反対などもなく、選手も気を遣わずに髪型を選べる。

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