侍ジャパンのデータアナリストを務めたデータスタジアム株式会社の佐藤優太さん、河野岳志さん、山田隼哉さん(左から)【提供:パ・リーグインサイト】

3人に共通していた情報の伝え方「直感的に選手たちが理解できること」

 佐藤さんはさらに「それを見た時に、選手から何か聞かれてもちゃんと答えられる準備をしていかないとなと思いました」とも。山田さんは「我々アナリストも、選手たちに育てられているというか、成長を促される存在なので、選手のリテラシーが上がるということは、我々はもっと上をいかなければならないというプレッシャーはあります」と述べた。

 舞台をマイアミに移した準決勝からは、慣れない環境との戦いもありつつ、今度は膨大にあるデータをどう処理するかの作業に追われた。「例えば去年のデータをまるごと使うのか、後半だけ使うのか、今大会の数試合だけを使うのかということが選択肢としてありました。ピッチャーのデータで感じていることとして、シーズン中の球種の割合はそんなに当てにならないと思っています。国際大会になれば場面の重要度もキャッチャーも変わります。あくまで去年のシーズンの傾向としてはこうであるけれども、絶対解ではないということは工夫して伝えたつもりです」と山田さんは振り返る。

 情報の伝え方には気を遣ったが、3人に共通していたのは「直感的に選手たちが理解できること」。山田さんは「おそらくそれを気にしていないアナリストはいないと思います。いろいろな可能性を言い出すと選手も迷ってしまうので、敢えて言わないようにしたりしました」と語る。佐藤さんは「どうしても簡素なデータになってしまいがちですが、データの正しさとわかりやすさを両立させることは、今回に限らず普段から気にしています」と話す。河野さんは「海外の投手は日本と比べてクイックをあまりしないので、クイックをするピッチャーかどうかを一目見てわかるように気を付けていました」と述べている。

 あの熱狂から数か月。大舞台を経て、今は何を思うのか。「ダルビッシュ投手をはじめとしたトップ選手だけがデータを活用するのではなく、アマチュアの選手も同じようにデータ活用ができるように、今後の自分の仕事を頑張っていきたいと思いました」と河野さんは力を込める。

「次回の大会も金メダルを狙いにいかなければならないので、ハードルがすごく上がったなと思います。今回はダルビッシュ投手らがどうデータを活用しているかや、一緒に帯同していたMLBのアナリストからメジャーリーグでどういうアプリを使って、どういうデータを見て、どう選手を支えているかを知れたので、伝え方や分析手法などの知見の幅が広がった実感があります」と佐藤さんは手応えを口にする。

「どれだけ貢献できたんだろうということに対するモヤモヤした気持ちもあります。あの場面ではこういうことができたんじゃないかとか、あの情報はこういうふうに伝えたほうがよかったんじゃないかとか。選手たちもレベルアップしていくので、我々も置いて行かれないようにパワーアップし続けなければいけないということを感じました。今後は現場の最前線に立つよりも佐藤、河野に続く次世代のアナリストを育てないといけないと思っています」と山田さんは次を見据えた。

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