埼玉・熊谷グリーンタウンには9人のコーチ 学年別に担当
全国屈指の強さを誇る少年野球チームの指導は「分業制」だった。今夏に開催された「高円宮賜杯第42回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」で3位に入った埼玉・熊谷グリーンタウンの斉藤晃監督は「1から10のうち、自分が教えるのは8~10くらい」と話す。いわゆる“パパコーチ”と役割を分担している。
熊谷グリーンタウンは今夏、「小学生の甲子園」と呼ばれる「マクドナルド・トーナメント」で3位に入った。斉藤監督にとって、3度目の出場で過去最高成績だった。チームを率いて16年目となる指揮官のチーム作りで、選手育成の根本にあるのは「分業制」だ。
「1~10まで直接指導することはありません。8~10くらいです。1~7まではコーチが担当して、気になったことがあれば伝えています」
チームには現在、小学1年生から6年生まで21人が所属し、学年別に担当コーチがいる。コーチを務めるのは選手の保護者か、かつて子どもがチームに所属していた人たち、いわゆるパパコーチだ。チームから任された特定のコーチが継続的に選手を見ることで、打撃の調子や性格などを把握できるという。
斉藤監督がコーチに求めるのは「野球の上手さより指導力」
低学年を担当したコーチが子どもと同じように高学年まで上がっていき、次に低学年の指導を任せられそうな父親に声をかける仕組み。斉藤監督は「誰でもコーチになれるわけではなく、コーチ陣が観察して適任だと思った父親にお願いしています。私が全ての学年を見るよりも、分業した方が1人1人の選手に目をかけられると思っています」
現在、チームには9人のコーチがいる。そのうち5人はチームOBの子どもを持つ父親だ。選手を指導しながら、後輩コーチを育てる役割も担っている。選手の調子が落ちている時は、まずコーチがアドバイスを送る。斉藤監督は言う。
「コーチが選手に指導している時、私は何も言いません。責任を持って指導にあたっているのを知っていますから。コーチは野球がうまいかどうかよりも、指導力が求められていると思います。チーム力が上がっているのは、コーチをはじめとする保護者の力が大きいです」
チームによってはパパコーチがトラブルの原因になったり、それを防ぐためにパパコーチを禁止したりするところもある。しかし、指揮官は「野球の指導は正解が1つではありません。うちは分業制で上手くいっています。打撃や投球のフォームが様々あるように、選手やチームに合ったやり方があります」と話す。熊谷グリーンタウンは、監督が1から10まで管理しない分業制で好成績につなげている。