厳しい言葉が並んだ保護者アンケートが変わるきっかけに
自分の指導を正当化して欲しい思いもあったが、保護者の声は全く違った。「試合は楽しくというのに、なぜこんな厳しい練習をしているのか」「17時練習終了と書いてあるのに、なぜ17時10分に終わるのか」。厳しい言葉の連続に、自分中心の独りよがりな指導だったと気が付いた。
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「ハッとしましたね。それで吹っ切れたところもあります。逆に保護者の意見を全て聞いてやろうって思ったんです」。それからは時間きっかりに練習を終了、雨天中止は1週間前に決定した。怒声罵声をやめ、保護者の負担も減らした。一方で、「このままでいい」「変えて全国大会に行けなかったらどうすんだ」と言いに来る保護者もいた。両方の意見をまとめるには、結果しかない。辻監督は「全国になら行かせてやる」と言い切り、自らを追い込んだ。
勝つために導入したのは、スポ根とは正反対の効率化だった。子どもたちがボールに触れる練習を増やすため、大量購入に踏み切った。また座学を通じて、子どもたちが自らの役割を理解するチーム作りを進め、強制などしなくてもいい環境を作った。そしてチームは2018年、ノーサイン野球でマクドナルド・トーナメント初優勝を果たす。
辻監督は、保護者アンケートというきっかけで1度、自分の指導を捨てた。そこで変われたからこそ、大きな成果を得ることができた。ただ“スポ根”野球でも、好成績が出ることは稀にあり、「どこかでその経験が残っている指導者が、(スポ根野球から)抜け出せないんだと思います」と、少年野球界の「変われない」現状を憂えている。「アンケート、やってみるといいですよ」。子どもたちを導く指導者たちに、0からのスタートを説いた。




