なぜ甲子園のアナウンスは独特アクセント? プロが解説「関西弁だと思われている」
アナウンスが上達する腹式呼吸 自宅でできる練習方法
球児の熱戦の記憶とともに、耳に残る甲子園球場のアナウンス。独特な響きやアクセントが印象的だが、少年野球でアナウンスを担当するママたちには気を付けてほしいことがあるという。プロ野球・オリックスの元球団職員で、野球専門のアナウンススクールを開いている藤生恭子さんは、甲子園ならではの環境が生む特徴を紹介。さらに、アナウンスのレベルを上げる簡単な練習法も明かした。
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野球と言われると甲子園のイメージが強いのか、少年野球でも甲子園のアナウンスを真似るお母さんは多いです。選手の名前につける「くん」を響かせるアナウンスです。ただ、これは甲子園の内野スタンドを覆う銀傘に声が跳ね返って響いているだけで、実際にアナウンスをする時には通常の発声をしています。他の球場でもビルや山の影響で声が反響しているだけなんです。プロのウグイス嬢を参考にする時は、球場に反響する声ではなく、実際にマイクに向かって話している声をまねるようにしてください。
もうひとつ誤解されているのが、関西弁だと思われていることです。甲子園では「くん」を下げて、選手の名前を呼びます。これは、「くん」を上げてアナウンスすると、反響して名前をかき消してしまうからです。甲子園のアナウンスは標準語で選手名を呼んで、「くん」を下げています。
私も関東の試合では、「甲子園風に」と依頼された時を除いて、「くん」を下げずにアナウンスしています。関東の方は普段通りのアクセントでアナウンスした方が声を出しやすいですし、聞く方も違和感がないと思います。アクセントをしっかりとまっすぐ付けると、アナウンスが一段上のレベルに聞こえます。
声の出し方で大切なのは、お腹の下に空気を入れて発声する腹式呼吸。声に張りが出て、マイクに声が乗ります。身に付けるには何か月も練習が必要ですが、自宅で手軽にできる練習法があります。それは、仰向けになって声を出すことです。仰向けになると、腹式呼吸でしか話せません。
声を出すと腹筋のあたりがきついと感じるはずです。その状態で歌ったり、メンバー表を読む練習をしたりしてみてください。寝転ぶスペースがない場合は、いすに座って、もたれかかりながら声を出すのも腹式呼吸になります。選手名のアクセントと腹式呼吸を意識するだけで、野球ママさんたちのアナウンスは大きく変わると思います。
(First-Pitch編集部)