
元ヤクルト・由規氏らが語る「ドッジボール練習」の効果
少年野球の子どもたちが陥りがちな「手投げ(腕の力に頼った投げ方)」は、球速が伸び悩む原因になったり、肩肘の故障に繋がったりする心配がある。この課題を乗り越えるヒントとして、元プロ野球選手の由規さんや専門家らがお勧めするのが「ドッジボール」の活用だ。体を大きく使って投げる感覚を養うには、どのような点を意識すれば良いのだろうか。
・腕の力に頼る「手投げ」の具体的な改善方法
・球速向上に繋がる全身を使った投げ方の習得
・怪我のリスクを減らしながら全力投球する習慣作り
仙台育英高時代に球速157キロを投げ、ヤクルトでは161キロをマークするなど活躍した由規さんは、自身の剛速球の原点が少年時代のボール遊びにあると振り返る。特にドッジボールは、指先だけでは扱えない大きさから、自然と体全体を大きく使って投げる動きが身に付いたという。また、練習時の意識も大切で、ブルペンでは数球でよいので、フォームを気にせず思い切り投げる時間を作ることを勧めている。時には練習から全力で投げる感覚を体に経験させ、“体を回すスピード”を意識することが、球速を伸ばす上で大切になってくるという。
野球アカデミー「NEOLAB」を運営する内田聖人さんも、フォーム改善の入り口としてドッジボールを取り入れている。指先での操作が難しい大きいボールを扱うことで、「肘を先に前に出して投げない」という、故障予防にも繋がる体の使い方が自然と促されるという。内田さんは、少年野球に多い長時間練習によって、無意識に力をセーブする投げ方が癖になることを懸念。神経系の発達が著しい「ゴールデンエイジ」(9〜12歳頃)と呼ばれる時期に、思い切り投げる経験を重ねておくことは、体の使い方を豊かにする上でも大切だと語る。
トレーニング施設「DIMENSIONING」のトレーナー・北川雄介さんは、子どもたちが「こうすべきだ」と頭で考えすぎてしまうことが、かえって自然な動きを妨げることがあると見る。「手投げ」の改善には、言葉で細かく教えるよりも、ドッジボールを投げてもらう方が感覚を掴みやすいという。大きなボールは腕の力だけでは投げにくいため、ボールを「手首でホールド」するように持って投げることで、重さを体全体で感じやすくなるとアドバイスを送る。技術を覚える前に、まず自分の体をどう使うかを体感することが、良い投げ方の土台作りになるのかもしれない。
3人の考えに共通しているのは、難しい理論から入るのではなく、子どもたちが感覚的に正しい動きを掴める練習を大切にしている点だ。ドッジボールを使った練習は、まさに遊びの延長で、球速アップに繋がる全身の連動性を楽しく引き出してくれる。専門家の知見をヒントに、日々の練習に少し工夫を加えてみることが、子どもたちの可能性を広げる一歩になるだろう。
・ドッジボールなど大きなボールを使い全身で投げる感覚を養う。
・練習からコントロールを気にせず全力で投げる機会を作る。
・「手首でホールドする」意識でボールの重さを体全体で感じる。
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