
ポニー全日本選手権でMVPに輝いた高崎中央の左腕・上原達也
中学硬式野球ポニーリーグの頂点を決める「マルハングループインビテーション 大倉カップ 第51回全日本選手権大会」が7月18日から23日まで行われ、高崎中央ポニー(群馬)が優勝を飾った。立役者の1人が左腕・上原達也投手で、愛知木曽川ポニーとの決勝戦では6回無失点の快投。大会MVPに輝いた。
身長160センチ、体重50キロの小柄な左腕がマウンドで躍動した。大会初出場での優勝がかかった決勝戦で、6回57球を投げて2安打無四球無失点。昨年夏にボーイズリーグから移籍し、ポニー全日本選手権に初出場した高崎中央に栄冠をもたらした。
抜群の野球センスが光った。杉並中野ポニーとの準々決勝では2回1死一、三塁で相手打者がスクイズを仕掛けた。打球は一塁線への小飛球となり、上原はスライディングしながらキャッチし、その体勢のまま三塁に投げて併殺にした。
決勝戦では、相手が試みた3度の送りバントを全て封殺。好フィールディングでピンチを未然に防いだ。巨人で野球振興部長を務める倉俣徹監督は「(スライディングキャッチは)桑田真澄さん(現巨人2軍監督)を思い出しました。身体能力が非常に高い選手」と称賛した。
利き手の中指痛め“ぶっつけ本番”も…計15回で1失点の快投

“手負い”の状態での出場だった。体育の授業で利き手の左手中指を痛め、投球を再開したのは大会直前。全力投球は控え、6~7割の力で投げたという。最速130キロだが、この大会では120キロ台前半。それでも巧みな投球術で相手打線を翻弄した。
大会では3試合で計15イニングを投げて失点は僅かに1。「将来はヤクルトの石川雅規投手のようになれるかもしれません。ホームベースを広く使えるのが素晴らしい」と指揮官は期待を寄せる。
今年のポニーU-14日本代表に選出され、アジア・パシフィック・ゾーン・チャンピオン・トーナメントで計5回を投げて1安打自責0に抑えて自信を深めた。右腕をダイナミックに使う投球フォームはYouTubeなどで研究して習得。球速は昨秋から6~7キロほど上がったという。
見据えるのは中学硬式5団体の覇者によるトーナメント「3rdエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」(8月28、29日)。14歳の左腕は「各リーグの1位と対戦するので負けないように頑張りたい」と意気込みを表した。




