打球の飛距離が激変する“適正な間合い”とは? 超一流からの指摘「みんな窮屈すぎ」

公開日:2024.11.28

文:高橋幸司 / Koji Takahashi

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元燕・青木宣親氏が少年野球に役立つバッティング指導「ポイントはできるだけ前で」

 置きティーの位置だけで、打球の質は大きく変わる。今月16日に東京都内で開催されたライブリッツ株式会社主催「デジタル野球教室」に、今季限りで現役を引退した元ヤクルト・青木宣親さんが特別コーチとして登場。集まった中学生にバッティング指導を行い、少年野球の上達につながる一流の技術を伝えた。

「トラックマン」「ラプソード」「ブラスト」などの計測機器を使った効率的パフォーマンスを、少年野球でも実感してもらおうと実施されたイベント。自身もデータを活用して日米球界で活躍してきた青木さんは、「現役の時は一切喋ってこなかった」という技術を伝えようと、参加者の中から選ばれた5人の中学生に、直接、置きティーでの打撃指導を行った。

 さすがは日米通算2723安打を放った“慧眼”だ。1人目が打ち始めて即座に指摘が入った。「打つポイントが良くない」。打者の立ち位置とボールを置いたティースタンドの位置が近すぎるという。

「ポイントが近すぎるので、打つときに体が開いている。それでは強い打球にならない。みんな、ホームランを打ちたいよね? そのためにも、できるだけ前(投手方向)で打たないと」

 その後指導を受けた中学生たちも、この指摘は共通だった。「みんな間合いが窮屈すぎる。バットをどう(振り)抜いたらわからないから、ヘッドを返してしまうし、フォロー(スルー)も出ていない」。なぜ、ポイントが近くなるのか。それは「三振したくないから」だという。空振りしたくない、できるだけ引き付けて打ちたいという意識が強すぎるためだ。

「ヤクルトの山田(哲人)選手はめちゃくちゃ前で打つ、だから飛ばせる。もちろん、前すぎるとボール球を振ってしまう可能性もあるし、引きつけることでボール球には手を出しにくくはなる。けれども、長打は打てません。そこをうまく見極められるようになると、打者優位で仕掛けられるようになります」

監督・コーチから「もっと上から叩け」と言われる理由

バッティングを披露する青木氏【写真:高橋幸司】

 この日は比較的大柄な中学生が多かったが、「もっと前、もっと前でいい」と繰り返し青木さんに指摘され、打席の前に置いたティースタンドから離れて、軸足(後ろ足)が打席後方になる選手も。一見するとだいぶ前に見えるが、窮屈だったスイングが変わり、快音を響かせて打球が飛ぶようになると、参加者からはどよめきが起こった。

 もう1つ指摘していたのは、両肩の位置。構えた時に“いかり肩”になっている選手が多く、それでは「バットがインサイドから出てこない」と語りかけた。肩甲骨を下げることで、肘の位置が下がり、バットが内側から出てヘッドも自然に立つという。

「みんな、監督・コーチから『もっと上から叩け』って言われたことがない? 肩を下げて、肘を下げてスイングをすれば、ヘッドが寝てしまうこともないし、『上から叩け』とも言われません。プレッシャーのかかる打席だと余計に肩が上がってしまう。それは僕もそうでした。そういう時こそリラックスして、“なで肩”を意識してほしい」

 ボールを置く位置を変えるだけで、打撃の質も向上する。「打球が上がらない」「強く打てない」という悩みを抱える小・中学生は、それぞれの体格に合わせ、軸足からポイントまでの距離を見直してみるのもよいだろう。大きなヒントを与えてくれる超一流打者の言葉だった。

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