“斜めからトス”の常識覆す「フロントティー専用マシン」
少年野球の子どもたちが、社会人日本一のチームと同じ練習ができる。野球用品を製造・販売する「フィールドフォース」が、正面からのトスで打撃練習ができる「フロントティー専用マシン」の販売を開始。ティー打撃は、斜め方向からのトスという常識を覆すマシンは、都市対抗野球大会優勝経験もあるNTT東日本の練習から生まれた。
打撃練習の定番に「ティー打撃」がある。一般的には、打者が斜め前からトスされたボールを打ち返す。だが、フィールドフォースの吉村尚記社長は長年、疑問を抱いていた。「打者は試合で正面から来る投球を打ち返します。斜めからのトスを打ち返すと、体が開いた状態でスイングする子どもたちが多く、これでいいのかなという思いがありました」。
今から3年ほど前、吉村社長の疑問を解消する出来事があった。社会人野球の名門・NTT東日本の練習見学に行くと、打者は正面からのトスを打ち返していたのだ。当時監督をしていた飯塚智広氏に「山なりの投球を打つ練習は、打撃で重要な“間”を取る感覚が身に付く」と説明された。そして「実戦に近い練習をするには、正対したティー打撃が有効。学童野球の子どもや、これから野球を始める子どもにも本当はやってほしい」と言葉をかけられた。
吉村社長は自分の疑問が間違っていなかったと確信し「子どもたちに、この練習を広めよう」と決断した。問題は安全面。NTT東日本では、トスを担当するコーチや選手は打球がぶつからないよう目の前にネットを立て、トスと同時にネットの後ろに隠れる。少年野球の子どもたちが同じ練習をしたら、怪我をする恐れがある。人間のトス、投球に近い軌道で自動的に球を上げるマシンが必要だと考えた。