
山本由伸も取り組む「壁当て」…楽しく守備力強化に繋げる3チームの工夫
多くの大人たちが子どもの頃に遊びで行ったであろう、ボールを壁にバウンドさせて捕る「壁当て」は、シンプルだが工夫次第で、捕球・送球などの守備力を高める練習へと進化する。今年のワールドシリーズでMVPに輝いた山本由伸投手(ドジャース)も、制球力や守備力を磨くために、超一流となった今でも取り組んでいるという。単なる“遊び”ではなく、奥が深いこの練習を取り入れている、小学生チームの実践例から、上達のヒントを探っていきたい。
・初心者が飽きずに楽しみながら、壁当てを通して基礎を学ぶ方法は何か。
・不規則なバウンドへの対応力を、壁当てでどう養うか。
・打球への1歩目の判断力を速くする、壁当ての工夫とは何か。
まず、兵庫の名門学童チーム「小野東スポーツ少年団」が取り入れているのが、ゲーム性を持たせた「壁当てドリル」だ。壁の前に2つのコーンを立て、その間を通すように送球し、跳ね返ったボールを次の子が捕球するというルールで行われている。失敗すれば脱落となるため、子どもたちは遊び感覚で熱中できるという。様々な角度からの送球で予期せぬゴロが生まれるため、楽しみながら予測能力を磨くことが可能だ。野球の入り口として「好きになってもらう」ことを重視し、こうした工夫で技術習得のハードルを下げている。
次に、少年硬式チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」では、あえて「整地されていない地面での壁当て」を推奨している。ドミニカ共和国の野球文化に影響を受けた筒香裕史代表が率いる同チームでは、小石が散乱する場所で練習を行い、不規則な「リアクションボール」への対応力を養っているという。「イレギュラーが当たり前」という感覚を身につけることで、どんな環境でも実力を発揮できる選手を育てることが狙いだ。投球の強弱や、2人1組でのゲーム形式を交えることで、必死にボールを追いかける姿勢や、予測不能な打球への適応力が自然と培われていく。
さらに、今夏の学童全国大会に出場した兵庫の「明石ボーイズジュニア」が取り組んでいるのは「壁当てジャンプ」だ。これはボールが壁に当たる直前に軽く1回ジャンプし、着地と同時に動き出す練習法となっている。打者のインパクトに合わせる「スプリットステップ」と同じ原理であり、静止状態からではなく「動から動」への移行によって、打球に対する1歩目の遅れを解消する狙いがある。ボール1つで効率的に反復できるため、“準備の習慣化”にもつながるという。数をこなしていくうちにグラウンドが荒れれば、不規則なバウンドへの対応力も同時に養える点もメリットとなる。
「壁当て」は単なる遊びではなく、基礎練習でもあり、実戦感覚を磨く場とも言える。上記3チームが実践する工夫を参照に、子どもたちの適応力を伸ばしていきたい。
・コーンを置いて当てる場所を制限した“脱落形式”のゲームで、楽しみつつ予測能力を高める。
・整地されていない地面を利用し、不規則なバウンドへの対応力を高める。
・壁に当たる直前にジャンプを入れることで、打球への1歩目の反応速度を向上させる。
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