少年野球にキャプテンは必要? 全国Vのシニアが実践「みんなで言い合う」チーム作り

理想の主将は誰に対しても「優しくできて野球が大好きな子」

世田谷西シニア・吉田昌弘監督【写真:加治屋友輝】

「凄い元気を出して、チームに気を遣ってやってくれる。みんなが信頼しているのが分かる」。その藤原を中心にしてチームは一致団結。8月上旬の「エイジェックカップ第51回日本リトルシニア日本選手権大会」で2017年以来、5度目の全国制覇を達成するまでに成長した。

 吉田監督は、半ばなし崩し的に主力を主将に任命することを嫌う。「野球が上手なキャプテンだと、その子の考えとか意見だけになってみんな何も言えなくなる」。そこには主力も控えも関係ない。「キャラクターがいい子。上手な子にも下手な子にも優しくできて、野球が大好きな子」が主将の候補に挙がる。そういう選手がいる代は、必ず強くなるという確信を持っている。

 ポジションも決めつけることなく、複数を経験させて適性を見極める。主将はいなければならないという固定観念も一切ない。「ジャイアンツカップのような大会を通じて、勝ったり負けたりすることでいろいろと勉強してくれたらいいなと。思い出に残るように一生懸命やってほしいですね」。

 主将に全責任を負わせたり、勝利至上主義の指導者もいたりする中で、世田谷西シニアは、選手をいい形で次のステージへ導くための指導を日々行っている。

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