理想は部活のノウハウや学校施設を活用したクラブチーム作り

「高崎中央ボーイズ」の倉俣徹監督【写真:川村虎大】

 硬式野球では練習場所の確保が問題になっている。専用グラウンドを持っているのは、一部の強豪チームなどに限られる。倉俣監督は「受け皿になるのは軟式野球のクラブチームだと思います」と解決策を提言する。東京には約200の軟式クラブチームがあるが、地域によって事情が違う。群馬には1つもないという。

 軟式は硬式よりも用具の価格が安く、使用できるグラウンドの数も多い。より気軽に野球を楽しめる。土屋さんや倉俣監督がイメージするのは、部活動のノウハウや学校のグラウンドを活用したクラブチーム作り。部活動と選手の取り合いにならないようにしながら、地域移行の選択肢を増やす考え方だ。

 部活動が地域移行されると、教員が全く部活に関われなくなるわけではない。これまでの“半強制”ではなく、希望する教員は申請すれば時間外労働時間の範囲内で地域移行されたチームから報酬をもらって指導できる。

 もちろん、課題はある。クラブチーム化は従来の部活と異なり、子どもや保護者への負担が増すと予想される。例えば、現在は活動中に選手が怪我をした場合、日本スポーツ振興センター(JSC)の「災害共済給付制度」で費用を負担しているが、各自で民間の保険に入る必要がある。

 これまでの仕組みを変えるには労力がかかる。それでも、土屋さんは「野球をやりたい子どもが気軽に野球に取り組むことができる環境を作りたい」と力を込める。そのために試行錯誤して、ベストな方法を模索している。働き方改革によって教員の負担は減るだろう。ただ、その先に野球だけでなく、運動したい子どもや指導者が輝く場所がある未来を願いたい。

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