広がっていってほしい閉校利活用

「地域ににぎわいを取り戻すには、多くの人を動かせるスポーツだと思いました。閉校を室内練習場に活用できると考えました」

 野球には町を元気にする力がある。福永さんは閉校になった小学校の改修を企画した。思いに賛同したのが、都内で野球用品の製造・販売をしている「フィールドフォース」だった。福永さんが6月にメールを送り、7月中旬にフィールドフォースの吉村尚記代表と初めて顔を合わせた。「古き良き時代の空き地を取り戻したい」と野球人口減少に歯止めをかけようとしている吉村代表は、その場で福永さんのサポートを決めたという。出会いから、わずか3か月で計画を形にした。

「日頃から抱いている我々の思いと同じでした。私が子どもの時は当たり前だった野球ができる空き地や公園が、どんどんなくなっています。子どもたちが自由に野球を楽しめる場所を増やしていきたいと思っています」

 フィールドフォースでは7年ほど前から、使用しなくなった建物を室内練習場に改修している。都内にあった自社の倉庫から始まり、北海道や福岡と全国に取り組みを広げている。これまでは空き店舗などを活用していたが、福永さんとの出会いで「閉校の利活用」に関心を持った。自治体のホームページを見ると、全国に使われなくなった多くの学校があると知った。今後は閉校した学校も活用していく考えだ。

「閉校利活用」の動きは広がりつつある。栃木県に本拠地を置くBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスも、閉校した小学校の体育館を改修して、室内練習場にしている。静まり返った学校を野球の力でよみがえらせる。「子どもたちの声や、町のにぎわいを取り戻したい」。福永さんとフィールドフォースの思いと力が1つになった室内練習場は、10月31日に幕を開けた。

(間 淳/Jun Aida)

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