夢に出る“15時間”の映像「頭がパンクする」 600→100→40→16…逸材小学生選びの苦悩

文:湯浅大 / Dai Yuasa

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埼玉西武ライオンズJr.の星野智樹監督が語る選手選考「気づけば日付が変わってる」

 全国から選び抜かれた小学5、6年生が、プロ球団の本拠地球場でプロ野球選手と同じユニホームを着て競い合う「NPB12球団ジュニアトーナメント」が、今年も12月末に開催される。今年で20回目を迎え、大会出身者から多くのプロ野球選手も輩出。今や野球少年の憧れの大会となっているだけに、出場希望者も殺到。悲願の初優勝を狙う埼玉西武ライオンズジュニアの星野智樹監督が、選考の苦労を語った。

 かつては球場でセレクションを行っていたが、現在はまずは、応募者から送ってもらった動画で1次選考を行う。「毎年600人前後ですかね。プレー映像を撮っていただき、それがパソコンに来ます。1人ずつ丁寧に見ながら選考しています」。1人1分半程度だが、90秒の600人分は、単純計算で実に15時間にも及ぶ。

「結構大変です。気がついたら日付が変わっているなんて、ざらですよ。さらに気になる子は2、3回と見ますから。気を張った期間になる。頭のなかパンクしそうになるくらいでやっています。映像がグルグル回っている。夢にまで出てきますからね」

 これまで各コーチはポジションの担当に応じて投手、野手に分かれてチェックしていたが、今年からはコーチも全員を見る方向だという。“フィルター”を増やし、1次選考の合否を迷う選手ついては、星野監督やコーチ陣らのチェックの多さで決める。「ある選手に対して、俺は(チェックを)つけた、投手コーチもつけた、野手コーチはつけていない、となったら2-1で採用します」。

各自のウオーミングアップからチェック「選考の前から選考していますよ」

2023年大会に出場した埼玉西武ライオンズジュニア【写真:加治屋友輝】

 星野監督は、動画選考ではプレー以外にも注視しているポイントがあるという。「自己紹介でもちゃんと名前を言えているか、とかは大事だと思っています。中にはカンペを見ているような子もいる。カメラより少し上を見ながら話しているから分かるんです。たとえ言葉が詰まっても、照れていても、自分の言葉でしっかりと言えている子はいいなと思う。一生懸命さが伝わる」。相手の目を見て話すのと同じ原理だと伝えると「本当にそれなんです」と大きくうなずいた。

 時間をかけて約600人から100人程度にまで絞り込む。1次選考を通過した選手は、いよいよグラウンドで星野監督ら首脳陣の前で実際にプレーする。「基礎ができているかどうかを見ます。力強く投げる、打つ、しっかりした形で捕る、とか。キャッチボールはすごく重要です」。

 さらには「選考が始まる前から選考していますよ」。ウオーミングアップの姿にも注視する。全体では行わず、各自でやらせることで、動かない子、友達と話している子、ダッシュしてしっかり汗を流す子といった、準備する姿勢をチェックしているという。

 2次選考から最終選考の40人程度まで絞り込み、最終的に16人の精鋭を決める。すべては600人の膨大な映像チェックから始まる。「私の見落としもあるかもしれないから、みんなに見てもらいます。今年はコーチ陣にも深夜まで見てもらいますよ」。星野監督はニヤリと笑った。

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 今回、埼玉西武ライオンズジュニア・星野智樹監督が新たに参加。監督と3人のアカデミーコーチが出演し、チーム方針や活動意義、選考ポイント、技術的アドバイスを配信しています。他にも巨人ジュニアの西村健太朗さん、日本ハムジュニアの須永英輝さん、中日ジュニアを2度の日本一に導いた湊川誠隆さんらも参加しています。

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