国が進める「部活動改革」を専門家は危惧 生徒にも影響「学校から活気なくなる」

公開日:2022.10.17

更新日:2023.12.26

文:間淳 / Jun Aida

XFacebookLineHatena

教員免許を持つトレーニングコーチ塩多雅矢氏が持論

 部活動の専門家は、来年度から始まる「部活動改革」への不安を口にしている。部活を学校から切り離すと、学び舎の活気が失われるのではないか――。教員の働き方改革は必要としながらも「部活が矢面に立たされるのは見当違い」と疑問を投げかけている。

 高校の体育の教員免許や理学療法士の資格を持つ塩多雅矢さんは現在、トレーニングコーチとして首都圏を中心に中学と高校合わせて約20校の野球部をサポートしている。学校や部活と深く関わっているだけに、来年度から始まる部活動改革には不安や違和感を拭えない。

「いろんな側面があると思いますが、教員の働き方を見直すために部活が矢面に立たされるのは見当違いと感じます。部活が学校から切り離されてしまったら、部活以外の学校生活にも影響が出ると思っています」

 国が来年度から進める部活動改革では原則、教員が土日の部活動には関わらなくなる。活動する場合は、外部のコーチや指導員が担当する。教員の長時間労働を防ぐ働き方改革の一環で、部活は学校から地域へ移行される形だ。

 学校現場を知る塩多さんは、教員の労働時間を減らすには、他に削る業務があると指摘する。通学中や家庭生活など、教員は生徒が学校で過ごす時間以外でも責任が問われ、指導に直結しない事務作業も多いという。塩多さんは「教員は教員以外でも担当できる業務を抱えすぎています。教員が本来やるべき業務に集中できれば、部活を指導する時間は確保できると思います。部活を担当したい教員と、そうではない教員がいるので、選択できるようにすべきです」と話す。

【次ページ】現場知るからこその不安「部活は学校生活の一部だからこそ意義がある」

トレンドワード