プロ目指しながら国家試験勉強 静岡新球団の“異色右腕”、両立への「やり切る」工夫

公開日:2024.01.21

文:間淳 / Jun Aida

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くふうハヤテベンチャーズ静岡・竹内奎人…合同練習参加しながら医師目指し勉強

 限られた時間を有効に使い、野球と勉強を両立するにはどうしたらよいのか。選手だけではなく、保護者も気になるテーマだろう。甲子園出場と現役での医学部合格を実現させた「くふうハヤテベンチャーズ静岡」(以下、くふうハヤテ)の竹内奎人投手は、野球をやり切ってから勉強するメリハリを大切にしている。成功者の経験や言葉にはヒントがある。

 今季からウエスタン・リーグに加わるくふうハヤテには、異色の肩書きを持つ選手がいる。群馬大の医学部に通う現役大学生の竹内。2月3、4日には国家試験が控えており、現在はチームの合同練習に参加しながら1日5時間ほど勉強している。

 竹内は静岡県内一の進学校とも言われる静岡高校で文武両道を体現した。3年春に右のエースとして、チームの選抜出場に貢献。最後の夏が終わってからは軸足を受験勉強に切り替えて、第一志望の大学に合格した。竹内は野球と勉強を両立させる方法は1つではないと考えている。「自分のやり方が正しいとは全く思っていません」と前置きした上で、こう話す。

「自分は野球をやり切ってから勉強にシフトするように心掛けていました。毎日の生活でも、練習をやり切ってから勉強します。受験勉強は3年の夏まで高校野球を全うしてから取り組むメリハリをつけていました」

 メリハリをつけるためには、時間を区切る習慣が大事になるという。「時間がたくさんある」と考えてしまうと、野球の練習も勉強も費やした時間に見合う効果を得られない。竹内は「何時までは休む」「何時まで勉強する」というように、時間を決める方法を勧める。

 勉強中は手の届くところにスマートフォンを置かないなど、勉強だけに集中している。「野球をしてから勉強するというサイクルができれば、勉強の効率は上がると思っています。ダラダラ勉強だけするよりも良い方向に進みます」。くふうハヤテに入団後も同じで、練習をやり切ってから机に向かっている。

練習後はストレッチや入浴…疲れを残さずに勉強

 睡眠時間は中学生の頃が8時間、高校生は5時間、現在は6時間くらい取っている。体が疲れて勉強できない状況にならないよう、練習後はストレッチしてからゆっくり湯船に浸かったり、サプリメントを取ったりしている。

 勉強は野球にも生きる。自分の強みや課題を分析し、限られた時間で成果を挙げる方法を考える力が育つ。竹内は大学で準硬式野球部に所属し、専門の指導者はいない。メニューを自分で組んでレベルアップを図り、大学では球速を6キロアップして147キロまで最速を更新した。

 竹内は「まだ何も成し遂げていませんが、進路選択に悩む学生や保護者に野球と勉強を両立させる方法があると知ってもらえればと思っています」と話す。NPB入りと医師免許。1つでも飛び越えるのが難しいハードルを両方ともクリアしようとしている。

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