元プロ右腕が高校未勝利だった理由 怒鳴る指導者が「成長妨げる」球界の遅れ危惧
元オリの東明大貴氏が振り返るプロ入りまでの道のり
高校時代は甲子園とは無縁で公式戦も未勝利だった右腕は、いかにしてプロへの扉を開いたのか。2020年まで7年間オリックスでプレーした東明大貴氏は自身の経験から「指導者から怒られる恐怖心が成長を妨げる。まずは(野球が)大好きな状態でグラウンドに立つことが必要」と、未来ある子どもたちにアドバイスを送る。
小学・中学生時代は地元・岐阜市のスポーツ少年団に所属し、友達と軟式ボールを追いかけた。練習時間は2時間程度だったが「結果はほとんど求めることがなく、仲間と楽しくプレーすることができた」という。同地区では硬式のクラブチームがほとんどなく「そういった環境じゃなかったのも野球を続けられた要因かもしれません」と振り返る。
岐阜・富田高校では1年秋からエースとして登板したが、公式戦では1勝も挙げることはできなかった。入学後はそれまでに味わったことがなかった1日練習、長時間のランニングなど経験し、中学野球とのギャップに戸惑いも感じていた。持っているポテンシャルを生かすことができず、勝つ喜びを知ることはなかった。
それでも桐蔭横浜大に進学するとリーグ通算30勝を挙げ、社会人野球の「富士重工業」でも入社1年目からエースとして都市対抗に出場して注目を集めた。体の成長と共に球速がアップしたこともあるが「怒られるプレッシャーから解放されたのが、一番だと思っています」と、メンタル面の変化が成長に繋がったと感じている。