中1から塾、中3で受験モード 中学最後の大会は背番号10で出場
目標への道筋は描いた。ただ、ハードルは高い。埼玉県に住んでいた戸村さんは、志望校にした立大の付属高校・立教新座に合格する目安となる偏差値を見て驚いた。中学1年から学習塾には通っていたが「本気で勉強を頑張らないと受からない」と危機感を抱いた。
中学3年になると、受験中心の生活にシフトした。野球部の練習に参加できない日は増えていった。部活に行きたい気持ちもある中で「ほとんど毎日、塾に通っていました。野球は高校、大学で頑張ろうと気持ちを振り切った部分もあります」と最大の目標に目を向けた。中学最後の大会はレギュラー番号を手にできず、背番号10で出場した。複雑な気持ちはあったが、目標がぶれることはなかった。両親も戸村さんの選択を理解していたという。
「文武両道が一番なのかもしれません。ただ、自分自身が親になって感じていますが、子どもが1つのことに対してあきらめずに取り組んでいる姿を見たら、親は応援する気持ちになると思います」
戸村さんは必死に勉強した結果、志望校に合格した。そして、立教新座で2年春からエースを務めた。立大へは内部推薦で進学し、野球部に入部。憧れのユニホームに袖を通して3年秋からはチームの主力となった。中学時代の、野球から離れて勉強に専念するという判断は間違っていなかったと証明した。さらに、甲子園とは無縁だった高校時代には想像もしていなかったドラフト1位でのプロ入りを果たしたのだ。